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ジュニアアルペン競技とスキー全般についての情報ブログです。

ジュニア期におけるアイデンティティの確立

ジュニア期におけるアイデンティティの確立

子供にとっては、勉強と練習と大会、親にとっては、仕事と子供の付き添いに追われ、毎日が明け暮れた冬季シーズンが過ぎ去り、すっかり過去の記憶になりつつあります。

「夏の効用」は、過ぎ去った冬季シーズンのあり方について、じっくりと考え、反省できることかと思います。(精神的な意味で)

特に、ジュニアに関しては、スキー競技に打ち込むこと、大会で優秀な成績を上げることは、本人が決めた目標ではない(間接的に誘導されている)可能性が高いので、モチベーションの維持が難しい時期ともいえるかもしれません。

発達心理学で高名なエリクソンは、人間の精神発達に関して8段階に分けたそうです。

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(岡山理科大ホームページより)

それによれば、小学生(学童)期は勤勉性の意識と好奇心を発達させ、学ぶことに対する熱心さを確立する時期。それがうまくできないと、劣等感を持ち、目の前の課題に興味を持たなくなるとされています。

それに続く青年期(中学生から21歳頃まで)は、自分自身の独自性と過去からの連続性、自分が社会や他者から承認されている受容感を確立することが求められる時期。それが達成できないと、自己喪失状態に陥るとされます。

青年期の発達課題としてのアイデンティティ(自己同一性、セルフアイデンティティ)は、やはりエリクソンによってその概念がまとめられています。

以下は、Wikiより引用。

「青年期は、「自分とは何か」「これからどう生きていくのか」「どんな職業についたらよいのか」「社会の中で自分なりに生きるにはどうしたらよいのか」といった問いを通して、自分自身を形成していく時期である。そして、「これこそが本当の自分だ」といった実感のことを自我同一性と呼ぶ。
エリクソンによる正確な定義は様々に存在しているが、アイデンティティ獲得の正反対の状態として、役割拡散や排除性が挙げられている。アイデンティティが正常に発達した場合に獲得される人間の根本的な性質としてエリクソンは「忠誠性」を挙げている。この忠誠性は様々な社会的価値やイデオロギーに自分の能力を捧げたりする事の出来る性質である。これが正常に獲得されないと、自分のやるべき事が分からないまま日々を過ごしたり、時には熱狂的なイデオロギー(カルト宗教や非行など)に傾いてしまうと考えられている。
自我同一性を獲得するために社会的な義務や責任を猶予されている準備期間をモラトリアムと言うが、これはアイデンティティが確立するまでの猶予と言う意味を表しているに過ぎず、エリクソン自身は青年が様々に葛藤したりする戦いの時期として捉えていた。そのためモラトリアムと言っても当事者自身はアイデンティティ獲得のために心の中で戦っているような様を思い浮かべるのが正しいであろう。この時期に青年はそれまでに獲得してきた様々な自己の部分を整理しなおす。その結果、青年には適切に選ばれた忠誠を誓えるような対象と自己の活動が残り、また否定的な部分は捨てられてアイデンティティとして確立する。」

(引用終了)

「この時期に、新たな自己が再統合され、自分なりの価値観や目標などが確立されなければならないとされる。この作業が、心理社会的モラトリアムの期間に行なわれ、青年は様々な環境の中で役割実験を行なうことにより、自己理解を深め、やがては職業や配偶者選択といった社会的決断を行なう。しかし近年の社会的役割を回避する傾向の人々を、小此木啓吾はモラトリアム人間と呼び、現代大衆社会における社会的性格の一つであると述べている。このアイデンティティの確立に失敗すると、自分が何者であるかよくわからない状態になり、アイデンティティ拡散の状態になる。具体的には、自分を見失う、仕事に取り組めなかったり逆に自滅的にのめりこむ、選択や決断ができない、などが挙げられる。またアイデンティティ拡散の状態にあるものは、あまり親密な関係は求めず、形式的な対人関係にとどめる傾向がある。(中略)

心理的離乳 psychological weaning

 青年期前期に生じる親からの心理的自立の試み。しばしば親への反抗や葛藤を伴い、一時的に青年との関係や生活全般を不安定にするが、そのことを通じて青年は親との間に最適な心理的距離を見出し、親とは異なる価値観、信念、理想などを確立するに至る。こうした心理的離乳は、多くの場合同じ苦悩を共有する友人との相互依存関係を通じて不安に対処し、徐々に獲得されるものとされる。」(D.N.寄生地より引用)


つまり、「アイデンティティの概念は「内的な斉一性と連続性」という心理的な側面と、「他人に対する自分の存在の意味の斉一性と連続性」という社会的・対人的な側面において、人生の様々な重要な問題、たとえば「職業」「価値観」などにおいて、自らの自己定義を主体的に確立していくものであるといえる。」(中川)

また、エリクソンのアイデンティティの概念を発展させたマーシア(Marcia)は、

個人のアイデンティティの状態を客観的、操作的に把握しようとアイデンティティ・ステイタス(同一性地位)という考え方を提唱した。それは、個人のアイデンティティを、自分自身の職業、価値などについて思い悩み選択 に 苦 慮 す る「危機(crisis)」と 、 決 定 さ れ た 自 分 の あ り 方 ・ 進 路 に つ い て 傾 倒 す る「傾倒(commitment)」の2つの変数から4つのステイタスに類型するものである。 」(中川)

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すなわち、危機の有無・傾倒の有無により

「アイデンティティ達成群」 (以下A群と略す)危機の時期をすでに経験し模索した結果、一つの生き方に対して主体的に選択して、それに積極的に関与している状態である。
この型から受ける印象は、自ら選択した物事を「やりとげる」ことができるように感じられることである。

「早期完了群」(以下F群と略す) 明白な危機を経ず周囲の価値観をそのまま継承し、これに傾倒している状態。自分の目標と両親またはそれに準ずるものの目標との間に不協和がなく、すべての体験が幼児期以来の自分の信念を補強するだけになっている。この型はある種の「硬さ」(融通のきかなさ)が特徴的である。このタイプのもっとも大きな特徴は、意志決定期間(危機)が明確にみられないことである。

「モラトリアム群」(以下M群と略す)危機の最中で自己決定の模索をしながら傾倒する対象を見つけだそうとしている状態。傾倒の程度は曖昧で焦点化されていない。しかし自己選択にあたって一生懸命努力、奮闘しているところが特徴である。

「アイデンティティ拡散群」 (以下D群と略す)危機を経験したかどうかにかかわりなく、傾倒すべき対象を持たず自分の生き方がわからなくなっている状態である。第一の下位型である危機前拡散型は、今まで自分が本当に何者かであった経験がないため、何者かである自分を想像することが困難であるという人であり、第二の下位型は、「傾倒をしないことに傾倒している」という危機後拡散型である。アイデンティティ・ステイタスは、以上の4つに類型されるものである。
」(中川)

危機を経験したかと特定の活動に積極的に傾倒したかの2次元を組み合わせて、4つの類型(同一性達成、早期完了、同一性拡散、モラトリアム)にわけて考えた。同一性達成は、過去に自己の可能性や選択について模索し、それを乗り越えて自分なりの信念に基づいた行動をとるようになっている状態である。早期完了は、過去に模索する機会はなかったが親や社会により認められる価値観を受け入れたタイプである。同一性拡散は、過去の模索経験の結果が明確な信念や行動に結びつかないものであり、モラトリアムは現在模索中で傾倒も明確ではない。これら4タイプを比較すると、一般に達成型やモラトリアム型の心理的成熟度や健康度が高く、同一性拡散型が最も問題とされる。」(D.N.寄生地)

エリクソンやマーシアは、親など周囲の価値観に比較的従順な小学生期を過ぎた後は、自我の確立を行うための準備期間である「モラトリアム型」を経て「達成型」に移行するプロセスを想定しているようです。(相互移行も可)

アイデンティティの確立に失敗すると、自分自身の存在価値がわからなくなる「拡散型」になるようです。

ここで注目すべきは、こうした青年期の葛藤がないままに、「早期完了型」にいたる子供たちのことです。

価値観の決定に関して危機は経験していないが、親や周囲が示した価値観を引き受け、積極的に関与している状態。しかし、その価値観が通用しない状況では、混乱してしまう可能性がある。」(アイデンティティ・ステイタスより)

彼らは、周りの価値観をそのまま受け入れる「いわゆる良い子ちゃん」たちなのですが、心には不安定さを残したままです。

自分の価値観以外を認めることへの許容性が低く、そうせざるを得ない状況では混乱に陥ります。

何か思い出しませんか?

そう、タイガーマザーですね。

親が主導権をとり、家族内で強い約束事を作り、有無を言わせず子供を鍛え上げる。

いわば、コントロールされた「早期完了型」です。

エリクソンやマーシアは、西欧的な価値観に基づいて、アイデンティティ・ステータスを提唱しています。その中で「早期完了型」は決して望ましいタイプと見なされていません。

だけど、そういう教育で育てられた子供たちが、西欧社会の中で成功してしまう。それは、欧米人にとっては、屈辱であり、認められないことなのだと思います。

ですから、あんな大議論になった。


一方、スキーではどうでしょうか?

状況は似てますね。

親にしてみれば、いくつになっても素直な子であってほしいし、家族でスキー競技に対する価値観を共有したいわけです。

家族一緒にがんばっていきたい。

そして、それが子供のためだと思っているわけです。

だけど・・・たぶんそれは、子供のアイデンティティの確立にとって、悪影響を及ぼす要因になり得るのでしょうね。

どうすれば良いか非常に難しいですが、やはり最後は子供が自分自身で決めることなのだと私は思います。

(もちろんタイガーマザー式の方が目標達成の確率は高いと思いますが、失敗した場合のダメージも大きそうです。このあたりは(適性等を含めて)個別ケースで判断するしかないと思います。)


まあ、そんなことをあれこれと考えられるのも、「夏の効用」なのでしょうね。

暑くて、頭も働きませんが。


今日は、車で1時間ぐらいの町で講演会を行い、おばちゃんたちの熱気に押しまくられてきました。

容赦ない質問攻めに会い、「強固なアイデンティティが確立し(すぎ)ている」と感じました。


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Author:ジュニアスキー
子供が小1の冬に家族でスキーを始め、すっかりその魅力にはまっております。小4から地元のスポーツ少年団に所属し、競技スキーを始めています。(現在中3)
ジュニアアルペン競技の情報ブログとしてスタートし、最近ではスキー全般、その他に関する話題も扱っています。
上欄のカテゴリから興味のある話題をお選び下さい。
(2009年7月25日開設)


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