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受験を知らない子供たち、懸念は学力低下より突破力

受験を知らない子供たち、懸念は学力低下より突破力

- 11/01/26 | 16:18

ある上場企業の人事担当者の話。「入社2年目ぐらいから伸びない、つまずく若手社員にある共通点がある。それは大学入試を一般受験ではなく、AO入試(アドミッション・オフィス入試、学科試験ではなく、大学が求める学生像に照らし合わせて合否を決める)や推薦で入学していること」。

 もちろん、個人差はあり、そうでない人もたくさんいることを断らなければならない。しかし、ここ数年で急増したAO入試や推薦入学が、転機を迎えていることも確かだ。

 文部科学省によれば、2009年度の大学入学者のうち、私立大学の場合、AO入試が10%、推薦入試が41%と、非学力型入試の割合が半数を超えている。国公立大学でも計17%に及ぶ。国公立、私立とも急増しているのはAO入試だ。AO入試は1990年に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスが初めて導入、97年の中央教育審議会が答申で入試改善の方策として挙げたことを受け、各大学が競うように採用した。

 しかし、08年12月には推奨した中央教育審自身がAO入試増加などを受け「入試の選抜機能が低下、入学者の学力水準を担保することが困難になりつつある」と指摘している。

 この背景には大学側の思惑もある。AO入試は、合格者のうちどの程度実際に入学したかを示す入学率(歩止まり)がほかより高い。一般入試で3割台、推薦でも8割台の入学率の中、AOでは95%と取りこぼしが極めて少ない。少子化で受験者が減る中、確実に学生を確保できるAO入試は大学にとって願ってもない入試策だったのだ。また、入試時期もこれまで制約がなく、「早いところでは3年の1学期のうちに合格を出す」(塾関係者)大学もあるという。また、推薦入学では全入学者の半分までと枠が定められているのに対し、AOでは特に制限がない

 さらに、入学者の確保には苦労しない上位校でも隠れた思惑がある。AOや推薦入試の枠を広げ、一般入試の枠を狭めることで合格難易度を上げ、結果的にその大学の偏差値を上昇させることにつながっているというのだ。大学は認めないものの、「関係者の中では常識」(同)という。これによって、同大学・同学部内での学力格差拡大を引き起こしているとの見方もある。

これらを受けて文科省では、AO入試の願書受け付けを8月以降に制限するとともに、AO入試でも大学入試センター試験や英検など資格・検定試験などで学力確認をしたうえで合否判定するよう、国公私立大へ通知した。

 「AO入試はそもそもエリート層発掘のために生まれた。しかし、対象の幅を広げすぎたため、ほとんどそれが機能しなくなっている。これを続けるのなら、学力を担保する方策は不可欠」(ニッセイ基礎研究所経済調査部長・櫨浩一氏)という指摘はもっともであろう。

AOであることを隠す

 AO・推薦組増加の影響として、教育関係者からは基礎学力低下を懸念する声が多いのに対し、企業の採用・人事担当者の受け止め方はやや異なる。人事支援サービスのHRプロの寺澤康介社長は「基礎学力の低下も確かにあるが、企業の採用担当者が首をかしげるのは、コミュニケーション能力や競争心のなさ」と言う。「社会では壁にぶつかったときにそれを乗り越える突破力が求められる。また異文化に遭遇したときには、それに接点を見いだすコミュニケーション力が必要だ。受験では一発勝負に挑む覚悟と集中力が磨かれる。その経験の多寡に企業は注目しているのでは」(同氏)と分析する。

 学生に対する企業の選別の目は厳しくなっている。東洋経済新報社が文化放送キャリアパートナーズと共同で行った調査では「推薦やAO入試拡大で、大学名だけでは学力の担保ができず、出身高校の偏差値まで調べている」などの声が聞かれた。以前ではAO入試組は面接がうまく印象に残るなど高評価があり、学生も積極的にそれをアピールしたが、最近はAOであることを隠す者が多い。採用担当者としては採用面接で「君はどうなのか」と聞くことはできず、「浪人経験者ならAOや推薦ではないだろう」など、探り合いも少なくないという。

 作家の佐藤優氏は本誌連載で「大学受験を本格的にした経験がある人とそうでない人とでは、同じ一流大学を出ていても、身に付いている勉強法がかなり異なっている」としたうえで、「現在の日本の学校教育では、受験以外に勉強の目標がなくなってしまっているので、大学受験を事実上迂回した人たちは、高校レベルの知識を記憶に定着させる機会がないまま社会に出てしまった」と指摘している。

文科省の調査研究員会では、高校段階の学力到達度を測る共通テストである、高大接続テスト(仮称)のあり方を検討している。基礎的な教科全般について教科書で扱われている問題から出題、高校在学中に複数回実施などが骨子という。

 現状、高校卒業時の学力把握は大学が個別に行う入学試験に委ねられている。そのため、大学進学を希望しない者やAO・推薦入学者は結果的に学力到達度が把握できない場合が多い。また、入試においても少科目数化が進んだため、高校の必修科目を履修せずに進学する学生も少なくないと指摘される。高大接続テストはこれらに対する改革案といえるが、現行の大学入試センター試験の改革とともに議論されるべきである。欧州主要国では、個別の入試ではなく、高校卒業と大学入学資格試験を兼ねた共通テストがあり、これで学力を把握したうえで、個別大学が面接や作文などを行い選抜していく。

「受験勉強は必要悪」か

 過度の受験競争の見直し、大学全入時代における学習プランの多様化などが、AO・推薦入試をはじめとした試験形式変容の背景にあったことはいうまでもない。一方で、高大接続テストなどの実施により基礎学力低下に一定の効果が得られれば、今後AO・推薦入試の長所を引き出していくことも有益である。

 しかし、「受験勉強に鍛えられた」とノーベル化学賞を受賞した根岸英一・米バデュー大学特別教授は語った。前出の櫨氏は「受験勉強は必要悪。試験があるから勉強する。繰り返し勉強した経験は受験時しかない」という。1月15~16日に大学入試センター試験が実施される。全国で約55万人が受験する。あのときの緊張感、高揚感をいま一度思い出すとき、大人になるうえで欠くことのできない通過儀礼であったと振り返る人は少なくないのではないだろうか。

(シニアライター:野津 滋 =週刊東洋経済2011年1月8日号)



いろいろ制度をいじってみたけども結局は元のシステムが良かったと言うことでしょうか。

実は、AO入試の学生が躓くのは会社に入ってからではなく、大学時代からだと思います。

問題があるにもかかわらず、ごまかして卒業させているのでしょう。

そして会社の採用担当者がそれを見抜けないと。

ただし、責められるべきは学生ではなく、こうした制度の普及を指導した文部科学省であり、学生集めが楽なため、そのまま利用し続ける大学側にあると思います。

入試科目もどんどん少なくなってきています。

ここで、自分の大学だけまともな入試に変更すると、厳しさから逃れたい受験生を大量に他大学に逃すことになります。

入試の競争率や偏差値が下がるだけならまだしも、大学経営に響く可能性もあります。


最近では、スポーツ推薦制度もAO入試に組み込まれているケースもあるようですが、彼らは体力もあり、競争に立ち向かえる精神力や努力を継続できる資質を持ち、かつスポーツを通したコネを持っていることもあるでしょうから、そうではない一般学生とは「突破力」が違うのかもしれません。

ただ、企業の採用で体育会系優遇など、少なくとも私が大学生だった30年前から存在していたことですが。

大学のレベルにもよるのでしょうが、知的トレーニングに対する企業からの期待の低さは相変わらずですね。


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プロフィール

ジュニアスキー

Author:ジュニアスキー
子供が小1の冬に家族でスキーを始め、すっかりその魅力にはまっております。小4から地元のスポーツ少年団に所属し、競技スキーを始めています。(現在中3)
ジュニアアルペン競技の情報ブログとしてスタートし、最近ではスキー全般、その他に関する話題も扱っています。
上欄のカテゴリから興味のある話題をお選び下さい。
(2009年7月25日開設)


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