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「上手くつなぐ」、「滑らせる」についてのコメント

「上手くつなぐ」、「滑らせる」についてのコメント

ある読者の方から、こちらの記事に対してコメントを頂きました。

非常に納得のいく説明であったため、ご本人の了解を得て、転載させていただきます。

ありがとうございます。

①急斜面から緩斜面に「上手くつなぐ」という表現をよく聞きますが、私にとっては意味不明な「呪文」の一つです。(笑)

 昔、ニセコモイワの大回転で見た国鉄北海道の村上吉弘さんの滑りは印象的でした。急斜面のスピードを活かし、緩斜面もスピードにのった滑りで圧勝だったと記憶しています。 当たり前だと言われるかもしれませんが、「上手につなぐ」=「できるだけ早いスピードで緩斜面に入る」ということだと思います。
 スタートからフィニッシュラインまで、真横からの断面で滑走者を眺めると良くわかると思います。真横から見ると競技者のスピードはかなり変化しているはずです。緩斜面に入ってしまうとスピードを上げるのは難しいので、緩斜面に入る前の急斜面でスピードが落ちた場所が緩斜面に近いほど失速するはずです。Soeldenの映像は観ていませんが、緩斜面に入る直前あたりの旗門でスピードが速すぎて落とされ、結果として失速するケースもあると思います。トップレーサが失敗するとは思えないのですが・・・。


②スキーを「滑らせる」なども、「暗号文」ですね。
強いエッジングを避ける、という表現であれば意味は分かりますが、じゃあ上手い人はなぜ弱い(短時間の?)エッジングでターン・コントロールができるのだろう、と思ってしまいます。

 これも昔の話ですが、海和俊宏さんがワールドカップで活躍していた頃、海和選手と他の全日本トップクラスの選手の差を調べる試みを、確かNHKで放送していたのを観たことがあります(場所は、たしかニセコアンヌプリスキー場だったと思います)。スキー靴か足の裏に圧力センサーを取り付け、横軸時間、縦軸圧力のグラフで、その差異を解説していました。海和選手が楔形で圧力のピークが高いのに対し、他の全日本トップクラスの選手はノコギリ方で圧のかかっている時間が長いのが印象的でした。アルペンスキーはいかに速く落下する競技ですから、減速の時間を短くできる技術のある人ほど速く滑れるのだと思います。まあ、努力だけで海和選手のレベルになれるようなものではないのかもしれませんが、参考まで。

以下は、私の返信の一部、

私自身は、レーシングの経験はほとんどないため、感覚的な表現を実体験と結びつけて理解するのが難しいところがあります。
逆に、トップレーサーは、教える訓練を受けていないことから、素人に分かるように説明できない場合もあるのかと推測します。(説明が上手い人、そうでもない人、様々に見えます)
雑誌やデモとかは、仲介役として「翻訳?」を行う役割なのでしょうが、必ずしも上手く機能していない面もあるようです。


狭い世界で生きていると、その中でしか通じない考え方や習慣が生まれるのでしょうか。

専門家にとって、「専門を極めること」と「人にわかるように説明すること」の 2つがとても大事だと思います。

よく経験するものとして、医師が患者に病気のことを説明する時に、比喩を使いながら、けど本質を外さない形で、実に上手く説明をすることがあります。

病気に関して素人で、かつ理解力も少し低下ぎみのお年寄りに、何とか分かってもらわないといけないという必要性から生み出された「説明能力」なのだと思います。

以下は、高分子が専門の東大の先生が、学会誌に寄稿した文章からの引用です。

「専門を極める」と「人にわかるように説明する」は,一見相反しているような事柄であるが,実は非常に密接に関係があり,研究者が進路を選択するあるいは高いモチベーションを保ちながら研究や仕事に打ち込む上で,最も大切なことだと私は思っている。よく,「いい研究をすれば,必ずポストは見つかる」と上の先生方は言われるが,「いい研究をし(専門を極め),人にわかるように説明できれば,必ずポストは見つかる」と私は付け加えたい。
研究者は自らの専門を極め,真理の追究と社会への貢献を実現しなければならない。しかし,時として専門を追求するがゆえに,自らの城に閉じこもり,同じ研究領域の人とのみ付き合い,専門用語に囲まれた暗号のような会話をし,刻々と掲載される学術論文におびえる日々を過ごすことになりかねない。就職活動を頑張っている学生諸君,キャリアアップを目指し日々研究に邁進している博士研究員の方々,今の自分の環境を変えようともがいている若手研究者の皆さん,今一度自分を見つめ直してみましょう。

私が言うところの「人にわかるように説明する」とは,
・専門外の人もいるところで,
・サイエンスのにおいを消さないように,
・なるべく平易な言葉で,
・限られた時間で,
・一回で理解してもらえるように,
・魅力的な夢も含めて,

自分の研究内容を説明することである。

ここでの「時間」を「分量」に,「一回」を「一読」に変えれば,「人にわかるように説明する」ことと「人にわかるように書く」ということは同じことである。この二つが最も必要とされるのが,就職活動と競争的予算獲得のときなどで,大いにその能力が問われるところである。
では,どうすれば良いか? それは自分の専門,自分の武器を明確にすることである。実は大抵の人は,自分の得意分野は何なのか,誰にも負けないものは何か,などの自己分析ができていないのである。専門外の人は,難しいことや細部についてはよくわからないので,「人にわかるように説明できない」ということは,自分自身の研究を本当は理解していないのだ,と解釈してしまう。難しいことを,難しい言葉で説明するのは,アホでもできる。専門が極められると,自分自身に余裕が生まれ,噛み砕いてわかりやすく説明できるようになるのである。
私は,自分の書いた文章や講演スライドを必ず人に見てもらう。誰に読んでもらうかといえば妻であり,誰に聞いてもらうかと言えば子供達を含めた家族である。そういう意味では,私は「仕事と私事」がかなり近いところにあるのかもしれない。冗談のように聞こえるが,昔採択された科研費若手Aの申請書は,妻の出産時に手伝いに来てくれていた義理の母に見てもらった。字が小さくて読みにくくないか,行間が詰まって圧迫感はないか,義理の母を年配の審査員に見立て,この点にも注意を払ったことを覚えている。
最終的に自分を評価してくれるのは,同じ専門分野の人達だけではなく,はるかに多い専門外の人達である。妻,夫,恋人,両親は,このはるかに多い専門外の人達であるとともに,最も皆さんを大切に思ってくれている人達である。人に見せるとなると,締切よりもかなり前に一度仕上げなければならない。完成したと思ったものでも,時間を置いて再度見直してみると,多くの粗が見えてくる。何度も推敲を重ねれば,必ず完成度もぐっと上がる。さらに,夫婦,子供,恋人との会話も増え,仕事だけでなく,私事も充実してくるはずである(たぶん)
さあ,恥ずかしがらずに,さっそく今日,誰かに5分で自分の研究を説明してみませんか?


冗談ぽく書いていますが、真実だと思います。

専門性の中で自己満足に浸っていてもダメなんです。

お年寄りに分かってもらえる、小学生に分かってもらえる、のが本当の説明力だと思います。

スキーに関しては、意味不明の言説が蔓延してきました。

スポーツは、才能や感覚がずば抜けていれば一流になれるので、「パーッときたら、バーン」みたいな説明をする一流アスリートもいるのかもしれません。

一般人にとって、あまりにも「分からないことが当たり前」の状況が続き、それに慣れてしまっています。

(ポパーが言うところの)反証可能性のない偽科学のようなものまで出現する有様で、だけど偉い人が言うのだからという理由で、真偽もろくにチェックされないまま権威付けされてきた面があります。

「分かるように説明すると、中身がないのがばれるから?」などと邪推するぐらいです。(笑)

「スキーを極める」ことと、「それを素人が分かるように説明する」ことは本当に大事なことだと思います。

本来は一流選手が説明能力も身につけられれば良いのでしょうが、現実的にはなかなか難しいかもしれません。

たぶん、役割分担が良いのでしょうね。

極めるのはトップスキーヤー、それを伝えるのはコーチや雑誌の役割と。

一般人だって、SNSを使えば発信できますし。(ただ、補完的ですし、マナーも必要です)

まずは、教える側が原点に返り、「説明力」を上げることに、もう一度取り組むべきだと思います。

「男にも分かるように「お産の痛さ」を伝える!「熱い!」「腰と股関節が内側からの膨張で破裂する」」も面白いです。ただ、スキーの場合は、経験と理解が融合する必要があるので、感覚表現だけでは足りませんが。

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プロフィール

ジュニアスキー

Author:ジュニアスキー
子供が小1の冬に家族でスキーを始め、すっかりその魅力にはまっております。小4から地元のスポーツ少年団に所属し、競技スキーを始めています。(現在中3)
ジュニアアルペン競技の情報ブログとしてスタートし、最近ではスキー全般、その他に関する話題も扱っています。
上欄のカテゴリから興味のある話題をお選び下さい。
(2009年7月25日開設)


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