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「すき家」労働環境改善のための調査報告書

「すき家」労働環境改善のための調査報告書

スキーとは直接関係はないのですが、極端な精神主義に見えたので。

スポーツにも、似たような状況があるかもしれません。

原文は、こちら

(2) 悪しき「自己責任」論と「言いっ放し・聞きっ放し」の蔓延
すき家では、「自己責任」の名の下に、上から下への責任の「押しつけ」、下による押
しつけられた責任の「抱え込み」
が広くみられる。
また、各自がそれぞれの立場から正論を言うだけで具体的なアクションにつながらな
いという「言いっ放し・聞きっ放し」
が蔓延していた。
しかも、企業を運営していくためには各自の権限と責任を明確に定めておくことが必
要であるが、Z 社では、組織規程・業務分掌規程が整備されていなかった。
このため、例えば、営業部門では、「現場の工夫と頑張りで解決するしかない」とい
う「問題の抱え込み」と「ファイヤー・ファイティング」に代表されるその場しのぎの
対応が繰り返されていたし、人事労務部門も過重労働問題への対応について営業部(現
場)に指摘・指示をするにとどまり、人事労務の専門家として、具体的な改善策を立案
し、その実行を強く迫るといった対応を取ることはなかった。

② 顧客満足のみにとらわれた思考・行動パターン
経営幹部は、「24 時間、365 日営業」の維持や良い商品をできるだけ安く提供するこ
とが顧客のためになるという強い信念のもとで、すき家の運営にあたっており、顧客を
最優先のステークホルダーとして意識
していた。しかし、従業員(社員、クルー)が企
業経営にとって不可欠のステークホルダーであるという意識はなかった。
そもそも、従業員が過重労働によって疲弊しきっている状況では、良いサービスの提
供などおよそ望むべくもないが、経営幹部は、過重労働が顧客サービスの低下を招いて
いるという現場の意見を、真摯に受け止めていなかった。
ある経営幹部も認めているとおり、顧客満足と従業員満足は矛盾するものではなく、
むしろ相互に連関するものである。しかし、過重労働問題への対応においては、経営幹
部には従業員満足の視点があまりに希薄であり、顧客満足追求が絶対化
していた。

③ 自己の成功体験にとらわれた思考・行動パターン
経営幹部は、強い使命感と超人的な長時間労働で、すき家を日本一にしたという成功
体験を共有しており、部下にもそれを求めた。

経営幹部は、単に営利のみを追求しているわけではなく、「24 時間、365 日営業」の
社会インフラ提供という強い使命感をもって働いている
のは紛れもない事実である。し
かし、この使命感は「自分たちが昼夜を問わず働いたことで今の地位を築いてきた」と
いう自らの成功体験と不可分
のものであり、そこにはすき家にとって重要なステークホ
ルダーである従業員の人としての生活を尊重するという観点が欠けていた。しかも、「
きる社員(=自分)」を基準にした対応を世代も能力も異なる部下に求めるという無理
のあるビジネスモデル
を押し通そうとした。
過去の成功体験にとらわれた経営幹部は、巨大化したすき家に対する新しい時代の
会的要請(コンプライアンスと CSR
を実践して発展すること)を理解できなかった。


(中略)

(2) 経営幹部の思考・行動パターンを基礎づけるヒアリング結果
以下では、COO や GM などを務めるすき家経営幹部と小川 CEO のヒアリング 4
を示す。
【「24 時間、365 日営業」について】
ある経営幹部と当委員会の Q&A は次のようなものである。
Q「(過重労働問題への対応として)営業時間を短縮するという話は?」
A「ない。考えたこともない」
Q「所与の条件なんだね?」
A「営業時間を短縮したからといって評価が下がるとか、地位が落ちるとか、そういう
話ではない。守るべきものとして、24 時間 365 日というのはあり、苦しいからやめる
というのは一度も言ったことはない。絶対に閉めない、というのがあり、そこで労働
基準監督署とか労働環境を考えたことはない。
新入社員が体を張っていた事実はある。
それは会社のルールで仕方なくやっていたのか、自分の思いでやっていたのかは、や
る人間によって変わる」
別の経営幹部と当委員会の Q&A は次のようなものである。
Q「24 時間、365 日にこだわらなくてもいいという声もあるが、どうか?」
A「会社として、方針として 24 時間、365 日やるのは必須。自分自身もやるべきだと
思っている。儲けだけ考えればやらない方がよい。深夜営業をやるのはストレス。す
き家以外のグループ会社に行った時は初めて深夜安心して眠れた。しかし 1 日の 4 分
の 1 は深夜帯の売り上げ。2,000 店舗あってお客様にも来ていただいている。社会イン
フラになりつつある。そういう期待があるのに閉めるかというと、どうか」
【「自分はやってきた」という意識】
ある経営幹部と当委員会の Q&A は次のようなものである。
Q「恒常的に長時間労働が生じていたと思うが?」
A「自分も、月 500 時間働いてきた。今にしてこうなったかというと、そうではないと
思う。結果ひどいことになって店舗クローズしたが、過去にもこういうことがあり、
その都度、立て直しをしてきた

Q「あなたが 500 時間頑張れた理由は何か?」
A「自分は GM になりたいという目標があった。また、クルーも同じくらい働いていた」
Q「部下の仕事に対する姿勢や考え方はどうか?自分と比べても」
A「レベルが低いと思う。AM はもっと店を好きになってほしい。今きっと嫌いなのだ
と思う」

別の経営幹部と当委員会の Q&A は次のようなものである。
Q「どれくらいまで耐えられると思っているのか?正直、今、上にいる人たちは勝ち組
であり、全員が耐えられるとは思えない」
A「自分たちの方がしんどかったという自負はある。それを乗り越えるためにはクルー
を巻き込んで上手く回す必要がある。しかし、最近はそういう人が少なくなった」

Q「牛すき鍋のマニュアルを見たが、設定されている時間内で作業を実施するのは至難
と思われるが?」
A「(マニュアルの標準タイムとは、実は最速時間であるが)そこまでやってきたから
こそ、どこでもできるようになる。それを今の若い人に教えたい」
Q「GM になるにはどんな資質が必要か?」
A「逃げない心」


(中略)

【考慮すべき事項】
(i) 小川 CEO をはじめとする経営幹部が、コンプライアンス、内部統制、コーポレートガ
バナンス、企業の社会的責任(CSR)を、形式的なものとして捉えるにとどまり、その
リスク管理における重要性の理解を欠いていた
ことが、今回の事態を招いた大きな要
因である。したがって、これらの概念の本質の理解が、経営幹部の意識改革の前提条
件となる。
(ii) 上記②の再検討を行うにあたっては、経営幹部は小川 CEO に精神的に依存せず、自分
の頭で考え、議論を行うべき
である。また、小川 CEO は、自分に対して「耳の痛いこ
と」を直言する経営幹部の意見を尊重すべき
である。
(iii) 「経営幹部合宿」を行うにあたっては、これが目先の利益追求を目的とするものでは
ないことを明確に意識し、売り上げや利益などの数字の話ではなく、「企業のあり方」
そのものについての本質的議論に集中すべきである。なお、この際、ステークホルダ
ーに対する責任を前面に出して持続的に成長してきたグローバルカンパニーの実例な
どを題材にすることも有益である 5

(iv) 「原因論」で指摘したすき家特有の「自己責任」論は、現場への責任の押しつけと問
題の抱え込みをもたらしていること
を小川 CEO をはじめとする経営幹部が自覚し、こ
れを改めることが必要である。


(中略)

第7 最後に
創業者である小川 CEO は、すき家を裸一貫から一代で日本一の牛丼チェーンに育て上げるとと
もに、ゼンショーグループの約 50 社を統括し、さらにグローバル展開を図っている。
「日本一の外食産業」となったすき家、そしてゼンショーグループは、好むと好まざるとにか
かわらず、社会的責任(CSR)を果たすべきパブリックな存在となった。
今回の事態は、「外食世界一を目指す小川 CEO の下に、その志の実現に参加したいという強い
意志をもった部下が結集し、昼夜を厭わず、生活のすべてを捧げて働き、生き残った者が経営幹
部になる」というビジネスモデルが、その限界に達し、壁にぶつかったもの
ということができる。
小川 CEO は、これまでのビジネスモデルに限界を感じ始めていたものの、経営幹部の中に、こ
の思いを共有し、共にビジネスモデルの転換を推進しようとする者はいなかった。また、小川 CEO
自らの言う「成功体験に基づく共同体意識」に足を取られ、これを実現することができなかっ

この状況を自覚しているからこそ、小川 CEO は、第三者委員会の設置を自ら決断し、その調査
と提言を求め、労働環境の改革に真摯に取り組むことにしたと考えられる。
当委員会は、この決断を受け、会社の自浄作用に期待できると判断して、調査・検討を進めて
きた。
今回の調査において、小川 CEO をはじめとする経営幹部は、この問題の解決に真剣に取り組む
意向であることを繰り返し表明している。当委員会は、これらの経営幹部が当委員会の指摘や提
言を真摯に受け止め、これを誠実に実行することで、自らの姿勢を内外に示すこと、そして、今
回の問題を機に、企業の体質や経営態勢を抜本的に改善し、食という重要な社会インフラを担う
信頼できる会社として再スタートすることを期待している。
ある経営幹部は、
「軽視されていたことが見直されるいい機会と捉えている。私たちも、この規模になったら、
現実がこれではいけない」

と述べ、別の経営幹部は、
「当たり前のように成長をしていたのだが、いつの間にか吉野家を抜いて、マックを抜いた。
CS もフェアトレードも本気で、会社としての理念をもってやっている。なぜ 24 時間、365
日開けないといけないのかという疑問にも何度もぶつかった。そこは、社会インフラとして
開けていなければいけないと思ってやっていた。でも、今回の件で気付かされた。CS を強く
もちすぎて、ES[注:Employee Satisfaction(従業員満足度)のこと]を置き去りにしてきた

100 店舗の会社だったら社会に与える影響も少ないが、大きくなり外食産業を引っ張る企業
としては、労務環境をやって行かなければいけない」
と述べている。
今回実施した従業員等に対するアンケートにおいても、会社に対する厳しい声だけではなく、
「ゼンショーの社員はみな、まじめに働いている。決してブラック企業ではない。バイトも社
員も 99%以上の人がゼンショーの復活を望んでいます」
「現在は、毎日のように、マネージャーも来てくれて環境を変えようと必死で努力してくれて
います。なので、確実に良い労働環境になってきました。とても有難いです」
48「このアンケートが無駄にならないコトを願っています。売上(数字)がすべてではありませ
ん。CR 一人一人が気持ちよく働ける環境を作っていただけたらと思います」
「少なくとも『●●店』のクルーは何事にも手抜きせず、いっしょうけんめいやっています。
●●店を、すき家をもっともっと良い店にしようと、努力しています。こういう気持ち大切
にしてほしいです」
など、会社を思う多くの声があげられている。
こうしたすき家を支えていこう、変えていこうという思いを持ったクルーや社員の存在こそが、
すき家の財産である。
当委員会は、経営幹部が強い決意と危機感をもって、こうした貴重な「人財」を最大限に活か
す経営を実現していくことを強く願っている。


ベンチャーを急成長させた活動性の高い経営者は、「自分なら問題なくできるのに、なんで部下はできないのだろう。努力、頑張り、集中力が足りないのでは?」という思考に陥りがちなのかもしれません。

ハードワークは、基本的には成功につながることが多いと思いますし、成長には欠かせない要素です。

ただ、人によって許容できる最大値は様々です。

経営陣と労働者ではその値も違うだろうし、労働者はSDも大きそうです。

要求のしきい値が上がると、脱落者が増え、職場が荒んできます。

マスコミには、「ブラック」と叩かれます。(マスコミの妙な正義感と「悪役」探し・叩きはいつものことです)

今回は、しきい値を上げたことによる歪みが大きく出てきたようですが、ここで「ホワイト」になると(極端に下げると)、会社の成長も止まり、いずれは縮小、消滅の運命をたどることになると思います。

トップの小川さんという方は、賢い方のようなので、こういうレポートを出させ、労働環境にもっと配慮する修正を行いながら、成長を続ける舵取りができるかもしれません。

精神主義は、ハードワークに効果的だけど、(それだけでは)いずれ行き詰まるというケースでしょうか。

レポート自体は、分析は優れていますが、提案内容は平凡と感じました。

スポーツの場合は、一般に負荷を上げればより効果も大きくなります。

より体が鍛えられれば、より大きな負荷を与えることができます。

問題になるのは、「厳しいトレーニング」ではなく、「しごき」になる場合でしょうね。

当事者の目標への理解・感情の要素も大きいと思いますが、要求内容に科学性・合理性が備わっているかが両者を分けると思います。

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Author:ジュニアスキー
子供が小1の冬に家族でスキーを始め、すっかりその魅力にはまっております。小4から地元のスポーツ少年団に所属し、競技スキーを始めています。(現在中3)
ジュニアアルペン競技の情報ブログとしてスタートし、最近ではスキー全般、その他に関する話題も扱っています。
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(2009年7月25日開設)


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