人口3500人にジャンプ台4つ、代表3人の町
人口3500人にジャンプ台4つ、代表3人の町
来月7日の開幕まで1か月を切ったソチ五輪。
メダルの期待が高まるスキー・ジャンプ日本代表で中核を占めるのが北海道下川町の出身者たちだ。四つのジャンプ台を備え、これまで多くの代表選手を輩出してきた国内ジャンパーの“聖地”。人口3500人ほどの小さな町が掲げるスローガンは「どうせ飛ぶなら世界一!!」だ。
◆「王国」の誕生
代表に選ばれた同町出身者は、7大会連続の出場となる葛西紀明(41)(土屋ホーム)、3大会連続の伊東大貴(28)(雪印メグミルク)、新種目の女子の伊藤有希(19)(土屋ホーム)の各選手で、7人中3人を占める。
北海道北部の山間部に位置する同町は豪雪地帯。本格的なジャンプ台が整備されたのは1969年だが、町内では神社の階段や裏山の斜面に積もった雪でこしらえた手作りのジャンプ台が、子どもたちにとって長い冬の格好の遊び場だった。
77年にジャンプ少年団が発足すると、レベルも一気に向上。今回は代表選手からは漏れたが、98年の長野五輪団体金メダリストの岡部孝信選手(43)も同町出身だ。2006年のトリノ五輪では、6人の代表選手のうち同町出身者が4人を占め、「ジャンプ王国」を強く印象づけた。
◆小学校から一貫育成
小さな町から多くの代表選手が生まれたのには理由がある。町中心部にあるジャンプ台は、K点が65メートル、40メートル、26メートル、8メートルの大小四つと充実しており、ナイター照明も完備。少年団で指導にあたってきた町教委職員の伊藤克彦さん(46)は「初心者がちょっと頑張れば飛べそうなものから、技術的な練習ができる大きなものまで、すべてそろっているのが選手が育つ要因」と話す。
これまでは中学を卒業すると、町外の強豪校に進学するケースも多かった。しかし、94年に元ノルディックスキー複合選手でワールドカップ出場経験もある伊藤さんが指導を始めてから、町内の商業高校に通いながら練習に打ち込む「小中高一貫」の育成スタイルが定着した。
◆女子ジャンパーも
伊藤さんの長女で、ソチ五輪代表の有希選手は、伊東大貴選手と同じ町内の高校を卒業した。「小学生のときに中高生のお兄ちゃんたちの上手なジャンプを見て、いつか同じように飛びたいと思っていた。一緒に練習できてすごく恵まれていた」と振り返る。
ソチ五輪から新種目に加わった女子ジャンプへの注目が高まる中、現在、少年団に所属する小中学生13人のうち女子選手は9人。町外からの“スキー留学”も積極的に受け入れている。
福島県郡山市からジャンプを学びに転校した下川中2年の女子生徒(14)は、飛距離が伸び悩んだときに有希選手に励まされたのがうれしかったという。「あこがれの舞台でいい結果を残してほしい」とエールを送っている。
(2014年1月8日17時23分 読売新聞)
来月7日の開幕まで1か月を切ったソチ五輪。
メダルの期待が高まるスキー・ジャンプ日本代表で中核を占めるのが北海道下川町の出身者たちだ。四つのジャンプ台を備え、これまで多くの代表選手を輩出してきた国内ジャンパーの“聖地”。人口3500人ほどの小さな町が掲げるスローガンは「どうせ飛ぶなら世界一!!」だ。
◆「王国」の誕生
代表に選ばれた同町出身者は、7大会連続の出場となる葛西紀明(41)(土屋ホーム)、3大会連続の伊東大貴(28)(雪印メグミルク)、新種目の女子の伊藤有希(19)(土屋ホーム)の各選手で、7人中3人を占める。
北海道北部の山間部に位置する同町は豪雪地帯。本格的なジャンプ台が整備されたのは1969年だが、町内では神社の階段や裏山の斜面に積もった雪でこしらえた手作りのジャンプ台が、子どもたちにとって長い冬の格好の遊び場だった。
77年にジャンプ少年団が発足すると、レベルも一気に向上。今回は代表選手からは漏れたが、98年の長野五輪団体金メダリストの岡部孝信選手(43)も同町出身だ。2006年のトリノ五輪では、6人の代表選手のうち同町出身者が4人を占め、「ジャンプ王国」を強く印象づけた。
◆小学校から一貫育成
小さな町から多くの代表選手が生まれたのには理由がある。町中心部にあるジャンプ台は、K点が65メートル、40メートル、26メートル、8メートルの大小四つと充実しており、ナイター照明も完備。少年団で指導にあたってきた町教委職員の伊藤克彦さん(46)は「初心者がちょっと頑張れば飛べそうなものから、技術的な練習ができる大きなものまで、すべてそろっているのが選手が育つ要因」と話す。
これまでは中学を卒業すると、町外の強豪校に進学するケースも多かった。しかし、94年に元ノルディックスキー複合選手でワールドカップ出場経験もある伊藤さんが指導を始めてから、町内の商業高校に通いながら練習に打ち込む「小中高一貫」の育成スタイルが定着した。
◆女子ジャンパーも
伊藤さんの長女で、ソチ五輪代表の有希選手は、伊東大貴選手と同じ町内の高校を卒業した。「小学生のときに中高生のお兄ちゃんたちの上手なジャンプを見て、いつか同じように飛びたいと思っていた。一緒に練習できてすごく恵まれていた」と振り返る。
ソチ五輪から新種目に加わった女子ジャンプへの注目が高まる中、現在、少年団に所属する小中学生13人のうち女子選手は9人。町外からの“スキー留学”も積極的に受け入れている。
福島県郡山市からジャンプを学びに転校した下川中2年の女子生徒(14)は、飛距離が伸び悩んだときに有希選手に励まされたのがうれしかったという。「あこがれの舞台でいい結果を残してほしい」とエールを送っている。
(2014年1月8日17時23分 読売新聞)
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