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インサイド:ソチ五輪への道のり・第3部 アスリートの足元/3 落選、泣き寝入りしない

インサイド:ソチ五輪への道のり・第3部 アスリートの足元/3 落選、泣き寝入りしない

毎日新聞 2013年11月29日 東京朝刊

 ソチ五輪に出場する代表の選考が大詰めを迎える。五輪は選手の人生を変えるひのき舞台。それだけに代表切符を巡っては、選手も競技団体も神経をとがらせる

 フリースタイルスキー・スキークロス男子の滝沢宏臣(日建総業)が全日本スキー連盟(SAJ)を相手取り、日本スポーツ仲裁機構に今季のワールドカップ(W杯)派遣方針の取り消しを求めたのは、11月1日。W杯への出場が五輪切符に直結するからだった。

 ■選考前段階での衝突

 今季W杯の日本の出場枠は1。昨季の滝沢の成績により確保できた。SAJフリースタイル部のコーチからは「(W杯への)優先的出場権がある」との趣旨で通知も受けた。しかし、夏に状況が変わる。8月の大会で河野健児(パートナーエージェント)が好成績を収め、国際スキー連盟(FIS)ポイントで日本勢トップになった。SAJは10月、河野をW杯第1戦、滝沢を第2戦に派遣し、成績が良い方を第3戦以降に出場させる玉虫色の方針を決めた。

 五輪に出るには序盤8戦でW杯ランキング32位に入る必要がある。1戦でも出場機会が減れば、五輪は遠のく。滝沢は仲裁機構に全8戦の出場権があると主張したが、「コーチの通知は機関決定ではない。(SAJの方針は)著しく合理性を欠くとまでは言えない」として棄却された。SAJは5月、五輪派遣基準を「世界レベルの大会で8位以内が1回以上」などと明確化していたが、前段階で衝突は起きてしまった。

 代表選考を巡って、選手の権利意識は強くなっている。起点は、2000年シドニー五輪の競泳女子自由形代表から落選した千葉すず氏だろう。千葉氏は「基準が不透明」としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴した。CASは訴えを退けたが、日本水泳連盟の選考基準の不備も指摘。これを受け、日本水連は独自に「派遣標準記録」を設けるなど基準を厳格にした。選手たちも泣き寝入りすることなく、仲裁機構に判断を仰ぐケースが増え、競技団体も選考基準を明文化する動きは進んでいる。

 日本スケート連盟はソチ五輪代表選考基準を弁護士を交えて入念に準備した。男女各3のフィギュアスケートの基準は(1)全日本選手権優勝者(2)全日本2、3位と、グランプリファイナル3位以内の日本人最上位の中から1人(3)(2)に漏れた選手と世界ランク上位3人、国際大会今季自己ベストスコアの上位3人の中から1人−−。過去の実績などは排除し、明快にした。

 ■有力選手救済に道?

 だが同じ連盟が作ってもスピードスケートの選考基準は難解な上、強化委員会での推薦段階や選考委員会での承認段階で「総合的な検討」ができる条文になった。連盟や各所属チームの思惑も背景にあり、選考会で不調だった有力選手を救済できる余地を残したと読み取れる。「落選した選手が訴えを起こすのが珍しくなくなった。どんな訴えにも耐えられる基準にしようとするほど、基準は複雑で分かりづらくなってしまっている」と関係者は内情を明かす。【江連能弘、芳賀竜也、藤野智成】=つづく


トレーニングの進歩により、選手生命が伸び、30代半ばの選手も珍しくなくなってきています。

昔ですと、スポーツ選手の競技期間も社会的な規範の中で決められていた面があったように思います。

ある程度の年齢になると、現役を引退し、後進を育てる立場になるか、他の世界に転身するか、という形でした。

同程度の実力を持った2人の選手がいたとして、1人は年齢的に先がない選手、もう1人が若手だったとすると、ベテラン選手が若手に枠を譲るのが暗黙の了解であり、美徳とされていたように思います。

最近は、「諦められない選手」が増えていて、自分の可能性を最後まで追い続ける、過去の栄光をかなぐり捨てても一選手として頑張り抜く、という考えが徐々に「格好いい」とされるようになってきました。

「潔さ」から「泥臭さ」、「社会通念」から「自分の気持ち」重視への価値観の変化でしょうか。

特に、過去に大活躍して、実績や人気もある選手ですと、回りの応援団も多いのだと思います。


オリンピックの選考に関して言えば、当然、本番でベストな成績を出せるであろう選手を選ぶべきだと思います。

枠が何人かあって、誰を選ぶか、実績で選ぶのか、一発の可能性で選ぶのか、それとも次のオリンピックのために経験を積ませる若手を加えるのか、コーチの判断が大きかったと思います。

例えば、実力がありながら、選考会で失敗した選手を救うべきかどうか?

公平性を重視するのであれば、諦めてもらうべきでしょうし、オリンピックで勝つ可能性を少しでも上げたいのであれば、選ぶべきでしょう。

後者の場合、選考会で良い結果を出したにもかかわらず、本番で良い成績を出せる見込みのないと判断された選手は、有力選手を救う代わりに、自分が落とされるという残酷なものとなります。

ただ、その方針が(明らかな贔屓とかなければ)社会的にも認められていたと思います。

記憶によれば(少し怪しい)、千葉選手の場合は、成績だけですと選ばれてもおかしくはない状況でした。彼女は、当時にしては個人主義的な考え方が強く、マスコミ等に対しても喧嘩を売るような言動があり(サッカーの中田選手的?)、競泳チームの結束を乱しかねない要因も判断に加味されたのかもしれません。ちょっと特異なケースだったと思います。

ただ、時代と共に選手の権利意識の強まりは当然にあって、コーチの判断で、失敗した選手を救ったり、活躍できそうな選手を選んだり、という選択を「恣意的」「おかしい」と見なし、批判する傾向が強くなってきたと思います。

一方で、公平性を重視しすぎると、なかなか本番で勝てなくなるのも確かなので、難しいところです。

例えば、前回のバンクーバー五輪では、皆川選手が選ばれ、湯浅選手は出場できないという結果になりました。

(実は、増枠の話があったにも関わらず、SAJのミスからそれを使わなかったということらしく、SAJの対応の不味さが露呈したわけですが、それを別とすれば、)トリノで入賞した実績を持つ皆川選手を出すべきか、可能性のある湯浅選手に賭けるべきかという判断に関して、以前は当然のごとくコーチの責任で行っていたものを、その時は、直前のWCの結果で決めるという方法をとりました。

ある意味、「コーチの責任逃れ」にも見えました。

私なんか、古いタイプの人間なので、「全責任を負ってベストメンバーを構成し、大会に挑むのがコーチの仕事だろう」と思ってしまいますが、なかなかそうもいかない時代になったようです。

ただ、「結果」よりも、「手続」が重視される選考は、本末転倒な気がします。

若手を連れて行く選択をしようとしても、最近は国民の権利意識?の高まりから、「税金で」勝てもしない選手を連れて行くなとか、国母選手のような態度の悪い選手を連れて行くなとか、うるさく言う人も多いですね。(笑)

税金を理由にするのは、ちょっと違うのではないかと思います。


選考に関して言えば、制度的な仕組みと実態があってない例として、ファーイーストカップのワールドカップへの出場権があるように思います。

優勝者に、ワールドカップの出場権を与えるという制度は、趣旨としては非常に良くわかるのですが、実態として実力差が大きすぎて、あまり意義のあるものになっていない気がします。

FECの権利でWCに出場しても、全く歯が立たないという状況です。

逆に、(FECに出ずに)WCのみに全力を注いで、惜しいところで結果が出ないレベルの選手がいた場合、翌年のWC出場権を失う結果になるかもしれません。

あるいは、WCに出場しながら、同時にFECにも出場するという滅茶苦茶なスケジュールを余儀なくされます。

どちらの大会成績も中途半端になりそうです。

実力が上の選手をWCやオリンピックに出場させて、勝つ可能性を高めるという選考の趣旨と、ちょっと違いますよね。

若手でしたら(育成も加味して)ヨーロッパカップで(あるいはFISレースも)戦わせて、経験を積ませるべきでしょうが、大きな大会では、勝てる可能性を最大限に高める選考を行うべきだと思います。

そのための権限を指導者に与えるべきだし、同時に(一定の)結果責任も負わせるべきだと考えます。

ある意味、パターナリズムですね。(笑)

*パターナリズム(英: paternalism)とは、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益になるようにと、本人の意志に反して行動に介入・干渉することをいう。(中略)「患者の利益か、患者の自己決定の自由か」をめぐる問題として議論されている。(Wiki)

今は、インフォームドコンセントが医療側の責任回避の目的で使われている面があるのと同様に、選考会やルールが選考責任を負うべき立場の組織や人間の責任逃れにつながっているようにも見えます。

本質的には、①勝利への確率を最大化する選択をするか、②ある程度のところで妥協しても、選手の権利・公平性をより尊重するか、どちらを選択するかだと思います。

皆さんは、どう考えますか?

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ジュニアスキー

Author:ジュニアスキー
子供が小1の冬に家族でスキーを始め、すっかりその魅力にはまっております。小4から地元のスポーツ少年団に所属し、競技スキーを始めています。(現在中3)
ジュニアアルペン競技の情報ブログとしてスタートし、最近ではスキー全般、その他に関する話題も扱っています。
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(2009年7月25日開設)


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