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「スポーツ・インテリジェンス―オリンピックの勝敗は情報戦で決まる」

「スポーツ・インテリジェンス―オリンピックの勝敗は情報戦で決まる」

和久 貴洋 (著) (NHK出版新書 415)

内容紹介
華々しい舞台の裏側で何が起きているのか! ?

スポーツ・インテリジェンスとは何か。それはオリンピックをはじめとする国際競技で勝ち抜くための「情報戦略」である。コンマ数秒の差を争う決勝戦。最後にその明暗をわけるものこそ「情報」にほかならない。相手選手やチーム、試合環境、使用器具等を徹底的に調べ上げ、国家を動かし中・長期スポーツ戦略を策定する。その最前線で長年活躍してきた著者が、知られざる実態を明らかにするとともに、さまざまなレベルでの「競争」が熾烈化する現代社会における情報との向き合い方を記す。

内容(「BOOK」データベースより)
メダルの数も情報次第!スポーツ界の裏側で起きている知られざる戦いの実態―「情報」を「戦略」へと結びつける秘訣を第一人者が説く。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
和久/貴洋
1965年、北海道生まれ。筑波大学大学院修士課程体育研究科修了。独立行政法人日本スポーツ振興センター情報・国際部課長、スポーツ開発事業推進部課長(併任)。同センターで、2001年より国際競技力向上のための情報戦略、アスリート発掘・育成プログラムの開発、マルチサポート事業などを担当。JOC情報・医・科学専門部会委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


週末は、この本を読んでました。

東大の教員だった著者が、国立スポーツ科学センターに情報戦略部門が設置された2001年に、この部署に移り、現在は中心的な役割を果たしているようです。

様々なアイデアや成功談、失敗談などの裏話が書かれていますが、なるほどと思った点をいくつか。

1,メダルポテンシャルアスリートの分析

メダル獲得数=メダルポテンシャルアスリート数×メダルポテンシャルアスリートのメダル獲得成功率

ここから、

①メダルポテンシャルアスリート数を増やす。

②メダルポテンシャルアスリートのメダル獲得成功率を高める。

③その両方。

の戦略。

メダルポテンシャルアスリートの定義は、世界ランキング「トップ3」もしくは「トップ8」に入っている選手。

過去のデータから、8位未満の選手がメダルを獲得する確率は10%程度。

8位以内の選手がメダルを獲得する確率は25-30%程度。

ただし、国の出場枠(出場選手数)によって、番狂わせが起こる場合も。

総合して、世界ランク8位で線引きをした。


世界のトップ8以内の選手がどの程度メダルを獲得したかという成功率を調べた。

1_20130917202715375.jpg

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日本のトップ8に入っている選手のメダル獲得率は、約30%。

他国と比べても高い。

ここから、

①オリンピック前に、メダルポテンシャルアスリートレベルに達した日本人選手は、比較的高い成功率でメダルを獲得している。

②日本は他国と比べてメダルポテンシャルアスリート数が少ない。

今後の課題は、②。

国枠があるので、メダルポテンシャルアスリートを有するスポーツ(競技)をどれだけ育成・開発できるか。

2,世界第3位になるための戦略

アテネオリンピックでの第3位はロシアで、27個。

このうち7個が金メダルでなくなれば、日本にもチャンスができる。

第3国のメダル占有率を7%近くまで下げる。

ロシアから金メダルを奪うターゲット種目を設定。

5段階に分類した。

世界トップ3になる為にチームジャパンが一丸となって、第3位国のメダル獲得を阻み、金メダル占有率を下げる戦略。


共通フォーマットを使ってスポーツ団体ごとに強化戦略プランを策定してもらい、理にかなった競技力向上の戦略と計画を立て、チームで共有し、実行していく形にした。

我々と競技団体とのコミュニケーションのきっかけにもなった。

3,改革を起こすための3つのチャンス

①クライシス(メダルを獲得できない)

②カリスマ的リーダーの出現

③オリンピックの自国開催

この原則は、ここ30年間変わっていない。

多くの国が、自国開催をきっかけに、トップスポーツシステムを変革し、大躍進している。

日本はメダルを獲得できないクライシスの状態であった。

競技力向上のため、「スポーツ基本法」、「スポーツ振興基本計画」の策定を行った。

この方針をうけて、

①国立スポーツ科学センターが設立(医科学、情報戦略サポート)。

②ナショナルトレーニングセンターの設置。

③ナショナルコーチアカデミー、キャリアアカデミーといった選手へのサポート。

④マルチサポート事業(マルチサポートハウス)

等で整備を行ってきた。

しかし危機的な状況は今でも続いている。

人口動態の変化である。

18歳人口は、

1992年:205万人、2012年:119万人、2031年:87万人(推定)

子供の体力低下と、スポーツする子としない子の2極化。

アスリートが枯渇する。

課題への取り組みとして、タレント発掘事業を開始。

子供の適性とスポーツのミスマッチを減らし、素質ある人材を中央競技団体に繋ぐ仕組み。

①素質ある人材を見つける。

②人材を伸ばすプログラム。

③世界に繋いでいくパスの設定。

④保護者のためのプログラム。

日本のジュニア育成の問題点は、

①指導者によるアスリートの抱え込み、

②国際レベルで活躍する選手を長期的に育成するよりも、直近の全国大会で勝利を収める「短期的」な育成。

指導者と選手の密接な関係の中で指導が行われていて、体罰やハラスメントの背景。


スポーツシステムなど存在しない国であっても、数人の突出した選手がいれば勝ててしまうという現実。

システムとして勝てる仕組み作りが必要。

スポーツへの価値観、人口構造の変化、財政状況、競技力向上への認識や意識、医・科学の知見、テクノロジーの開発、の変化の中で日本のトップスポーツの競争優位性をいかに保つか。

これまでの取り組みや組織、人材、システムのイノベーションが必要。


感想:

なかなか素晴らしい本でした。

これまで新聞等で様々な活動が報道されていましたが、その中心人物が、必要性や方向性、関連性や取り組みの意図を明確に語っています。

「この方達がいれば、日本のスポーツ「戦略」は大丈夫。本当によく考えている。(あとは、実行するだけ)」

というのが私の率直な感想です。

皆さんもぜひお読みください。

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プロフィール

ジュニアスキー

Author:ジュニアスキー
子供が小1の冬に家族でスキーを始め、すっかりその魅力にはまっております。小4から地元のスポーツ少年団に所属し、競技スキーを始めています。(現在中3)
ジュニアアルペン競技の情報ブログとしてスタートし、最近ではスキー全般、その他に関する話題も扱っています。
上欄のカテゴリから興味のある話題をお選び下さい。
(2009年7月25日開設)


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