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生涯にわたる心身の健康の保持増進のための今後の健康に関する教育及びスポーツの振興の在り方について

生涯にわたる心身の健康の保持増進のための今後の健康に関する教育及びスポーツの振興の在り方について (保健体育審議会 答申)

保健体育審議会

(競技スポーツのシステム化の遅れ)
 このように我が国の国際競技力が低下した要因としては、競技スポーツの振興体制が必ずしも十分に整備されておらず、国際競技力の向上に向けた組織的・計画的な取組が行われてこなかったという点が挙げられる。現在では、ピラミッドモデルのように競技スポーツのすそ裾野をいかに広くしても、国際競技力の向上はもはや図れなくなってきており、新たな競技力向上システムを構築していく必要がある。
 国際競技力の向上に向けた組織的・計画的な取組の必要性は、以前から言われてきたことであり、諸外国においては既にこうした取組を国レベルで行っているところが多数見られる。我が国は、競技スポーツのシステム化について、言わば取り残された形になりつつある。

(国際競技力向上をめぐる具体的問題点)
 我が国の国際競技力向上をめぐる具体的な問題点としては、まず、選手に対するジュニア期からの一貫指導体制が欠如していることが挙げられる。今日、世界レベルの選手を育成するためには、ジュニア期から一貫した指導ができる総合的な競技力向上システムが不可欠と言われているが、我が国においては、こうしたシステムが不備であり、以下のような問題が生じている。

○ 指導者や活動拠点が変わると、継続した指導が行われにくい。

○ 育成対象となる選手の選考が、ジュニアの全国大会の成績などを重視して行われており、選手の素質・将来性という最も重要な要素が必ずしも適切に考慮されていない。

○ 各年齢期の競技会で好成績をあげることを重視した指導が行われることの弊害として、伸び悩みや精神的燃え尽き(バーンアウト)、肉体的使い過ぎ(オーバーユーズ)の状況が生じている。
 また、このほか、スポーツ医・科学の成果を取り入れた育成カリキュラムの開発が遅れていること、選手に対するスポーツ医・科学面からのサポートができる高度なトレーニング拠点が不足していること、世界レベルの経験を有して世界を目指した指導ができる優れた指導者や専任コーチ、スタッフが不足していること、スポーツ医・科学や諸外国の情勢など各種の基礎知識・情報を指導者間で共有できる仕組みが欠如していること、さらには、選手の進学や引退後の進路問題などへの対応を含め、選手が競技活動に安心して打ち込めるようにするための側面的な支援体制が不備であることなどが挙げられる。

(一貫指導)
 今日、世界レベルで活躍する選手を輩出するためには、我が国においても、ジュニア期に素質のある選手を見いだし、スポーツ医・科学を取り入れたトレーニングを施しながら、組織的・計画的に育成していく、一貫指導を早期に実現していくことが必要になっている。
 ここで言う「一貫」とは、指導の理念や内容が継続的に一貫して行われるということを意味するものであり、指導者や活動拠点が変わっても「一貫した継続的な指導」が行われるという点が重要である。
 すなわち、一貫指導の実現は、従来行われてきたような「選手強化」という名の下に、自然にとう淘た汰されて選び出された選手を、各年齢期において、その時々で強化するということから、ジュニア期から組織的・計画的に適切な指導を行い、「競技者を育成する」という考え方への転換を意味するものである。

(一貫指導カリキュラムの策定)
 一貫指導を行うためには、まず、指導の理念や内容・方法(カリキュラム)について適切に定める必要があり、その具体的な内容については、競技ごとに異なる点が多いため、各中央競技団体が作成する必要がある。この際、トレーニングの内容・量等が各年齢期における発育・発達の特徴に応じた無理のない適度なものとなるよう十分に配慮することが重要である。また、トップレベルの選手については、精神面の強化や、外国語やマナー等の指導を行っていくことも重要である。
 なお、特にジュニアの早い時期においては、数多くのスポーツを経験しながら、基礎的・全身的な体力・運動能力を身に付けていくことが重要であり、この時期の指導カリキュラムや、それ以降の各時期における指導カリキュラムの基本的内容については、財団法人日本オリンピック委員会が財団法人日本体育協会の協力を得ながらひな雛形を作成して各中央競技団体に示すとともに、指導カリキュラムの策定上必要となる基礎的データ等を競技団体を含め共有化していく必要がある。
 本審議会では、一貫指導カリキュラムの策定の参考に資するため、各年齢期における発育・発達の特徴を踏まえ、ジュニア期からトップレベルまで四つの時期に分け、それぞれの時期における指導の目標や観点について、その主な内容をまとめた(別表4参照)。
 なお、これは、一般的な目安として示したものであり、各競技の特性及び個人の発育・発達状況などによって異なるものである。

(個々人に応じた指導)
 同じ年齢期にあっても、選手個々人の成長や体力の発達には個人差がある。また、世界のトップレベルを目指すには、個性を伸ばすとともに、自ら考え状況判断していく力を養っていくことが重要であるが、これらは教え込むことで養われるものではない
 こうした点を踏まえ、一貫指導カリキュラムに基づく実際の指導に当たっては、指導カリキュラムに示された目標を念頭に置きながら、個々人に応じた内容・方法による指導を行うとともに、個性や自主性を伸ばしていくことが重要である。

(2)優れた適性・能力を有する選手の発見
(スポーツ適性・能力の発見の仕組みの確立)
 一貫指導を行うためには、素質のある選手を適切に発掘することが極めて重要である。
 これまで、素質に恵まれた優秀な選手の発見は、全国大会等の成績に基づいて選手をピックアップするという方法が主であったが、将来につながる素質を見極めるためには、大会成績だけでなく、個々の選手の心理的な面を含むスポーツ適性、体力・運動能力、成長予測等の要素を総合的に勘案して判断する新たな仕組みが必要である。

(選手の素質を見抜く能力の開発)
 スポーツ医・科学研究の成果を取り入れた新たなスポーツ適性テストの研究開発や、現場レベルの指導者が選手の素質を見抜く能力を高めたり、選手の素質を見極める専門家(スカウト)を養成することも重要である。このような点については、国立スポーツ科学センターが中心となり、財団法人日本オリンピック委員会や財団法人日本体育協会、各中央競技団体、大学などが連携しながら取り組んでいくことが必要である。

(スポーツ適性・能力の判断時期)
 スポーツ適性・能力について競技団体等が判断する時期については、競技ごとの特性によって若干異なると考えられるが、おおむね、第1回目は、体力・運動能力の個人差が明らかになる小学校高学年を目途に行い、スポーツ全般に対して素質のある者を見いだし、第2回目は、中学生段階を目途に行い、個々人のスポーツ適性を見極めながらある程度種目のアドバイスをし、第3回目は高校生段階を目途に行い、将来のトップレベルの選手としての資質を有しているかどうかについて判断していく、というような形で複数の時期をとらえて行うことが適当であると考えられる。


原文は、こちら

この答申は、いつ出されたものか分かりますか?

答えは、平成9年です。

現在と状況はほとんど変わっていないように感じます。

同時に、内容の過激さに驚きます。

従来のピラミッド型の競技スポーツ構造と、その時その時の競技成績を重視する方針を否定し、代わりに、素質を早期に見いだし、長期的に一貫した育成を行い、その上で段階的に選抜するエリート教育を目指しています。

中国、韓国型ですね。

小さいときからスポーツ漬けで育てられ、高校生ぐらいになってトップ選手として資質がないと放り出されるシステムのように見えてしまいます。

全体的には、競技は強くなるかもしれませんが、(成功しても、失敗しても)社会的に健全な人間になれるのだろうか?と心配になります。

国民が、国が、何処に競技スポーツの価値を見いだすか、価値観の問題だとは思いますが。

選手個人にとっては、(本当のトップ選手を除き)スポーツは辛いものになりそうです。

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プロフィール

ジュニアスキー

Author:ジュニアスキー
子供が小1の冬に家族でスキーを始め、すっかりその魅力にはまっております。小4から地元のスポーツ少年団に所属し、競技スキーを始めています。(現在中3)
ジュニアアルペン競技の情報ブログとしてスタートし、最近ではスキー全般、その他に関する話題も扱っています。
上欄のカテゴリから興味のある話題をお選び下さい。
(2009年7月25日開設)


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