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マイケル・サンデル

マイケル・サンデル

2010年に「白熱教室」がブームになったハーバード大学のサンデル教授の「これからの「正義」の話をしよう」のAmazonの書評からの引用です。

覚え書きです。

By Yuichiro (つくば市)

「サンデルの専門は政治哲学・道徳哲学です。つまり、「正しい行い」とか「正しい社会制度」を作ろうと思ったときに、「正しい」とはいったいどういうことなのかについて、徹底的に掘り下げていく哲学です。
 サンデルは、道徳や正義について考えるとき、まず始めに具体的なケースを想定するのが良いと言います。たとえば4人が乗ったボートが漂流しているときに、1人を殺して残りの3人が生き延びるという選択は正しいのかどうかといった具体的なケースです。その次に我々は、“直観的”に「こうすべきなんじゃないか」という道徳的判断を下します。そして、その“直観”に理屈を与えるために、道徳的判断の「原則」のようなものを探して考えを掘り下げていくわけです。

 道徳的な価値観に関わる問題は、そもそも人によって意見が大きく異なるものばかりだから、答えを出すのがとても難しい。しかし、考えを深めていくためのヒントはいくつか存在する。サンデルは、哲学の歴史を振り返ると、正義や道徳をめぐる議論というのはだいたい3つのパターンに分かれると言います。
 1つ目が「功利主義」で、とにかく人々の快楽の最大化を追求すべきだというもの。「最大多数の最大幸福」とよく言われるように、一人一人の「幸福」や「快楽」を足し合わせた総量が最大になるように、そして「苦痛」の総量を最小限にするのが最も重要だというわけです。
 もう1つは「自由」を尊重する立場。最も極端なのが「リバタリアニズム」で、政府の役割なんてものは最小限でいいし、社会保障政策すら不必要だと主張する。一方、自由を尊重する立場の中でも「リベラリズム」は、全ての人々が対等な自由を享受できることを目指しているから、弱者を救済するために政府が積極的な役割を果たすべきであると考える。
 最後の1つは「美徳」を重視する立場で、我々の社会の目標は快楽を最大化することでも自由を最大化することでもなく、より美しく、より善く生きることであると考える。サンデルも基本的にはこの立場に属しています。

 近代の正義論は、基本的に「功利主義」や「自由主義」に基づいていて、そこには一つ共通点があった。宗教的信念や道徳的価値観は人それぞれなのだから、社会制度というものは特定の「美徳」に味方すべきではなく、様々な価値観に対して中立的に設計されるべきであるという前提です。しかしサンデルは、大学入試や同性婚の議論など様々な例を持ち出して、この「中立性」という原則に哲学的な疑いを差し向けていきます。
 これまで我々は「中立性」の原則にこだわりすぎていて、信念や価値観について議論することを恐れるようになり、道徳観が貧弱になってしまったというのがサンデルの問題意識です。「他人の価値観を尊重しよう」と言って、実のところ我々は、尊重してきたのではなく、単に衝突を避けて来ただけ。言い換えれば「無視」してきた。
 我々は、他人の価値観に触れないようにするのではなく、お互いに敬意を払って議論をすることで、道徳観を深めていく努力をしなければならない。そして、「共通の善」について議論することで、バラバラになってしまった社会に「連帯」を取り戻さなくてはならない。そういう議論を避けて道徳観が深みを失ってしまったことで、我々は「原理主義」のような単純で過激な道徳に付け入る隙を与えてしまったのだとサンデルは言います。」



By スポンジスポンジ

「倫理学における三つの主な考え方が、豊富な実例とともに解説されています。

その1:功利主義 「最大多数の最大幸福」という言葉で知られる。快楽を増やし、苦痛を減らす「効用」が最大になるよう計算することで、道徳的な問題を解決できるという考え方。

その2:自律と選択の自由といった個人の権利を重視する考え方  個人の自由を最も重視する自由至上主義(リバタリアン)、結果よりも動機が大切だとするカント、仮説的同意という前提から正義の原理を導き出すロールズなどの思想が概説される。

その3:共同体主義  共同体における目的、美徳といったものを考えることで、功利主義や自由主義では解決できない問題を考え直すことを提唱する。(サンデル先生の立場もここにある)

実際に起きた裁判の判例などが多く出てくるので、哲学の本ですが構えずに読めます。しかし、哲学の専門書ならもう少しコンパクトにかつ深く原理や思想を説明しているものがあるのかもしれません。なので哲学・倫理学について詳しくない人に特にお勧めです。」



By くにたち蟄居日記 (Surabaya,Indonesia)

「読後感は三点である。
 
 一点目。改めて、「正義」「平等」「自由」というものの定義の難しさを感じた。

 本書で繰り広げられる各種の事例に対して、何が正義で、何が平等で、何が自由なのかを一つに決めることは不可能だ。その「不可能さ」ぶりに、真実があると考えるしかない。つまり「正義」はいくつもあり、そのどれもが、誰かにとっては絶対に正しく、かつ全員にとって正しいわけではない ということだ。ここから学ぶべきは 更に「一つの正義」を追求することではなく、自分にとっての「正義」「平等」「自由」とは、他者にとってはそうではないと理解するという謙虚な姿勢を持つということだと僕は考える。僕らは自分の考える「正義」を誇ったり、強制したりする権利を持っているわけではない。

 二点目。本書がベストセラーになっているということに驚く。

 どう読んでも本書は決して易しい本ではない。いや、かなり難しい本である。その本がかように話題となり売れているという現象をどう考えるのかは興味深い。
 リーマンショックが齎したものは金融危機だけではない。本質的には新自由主義への重大な疑念の発生であり、それの反動としての社会民主主義の再興だ。
これは僕らの日常レベルでの問題である。日本の格差社会問題や貧困問題も、基本的には同じ地平線にある。その状況を踏まえて、多くの人たちがもう一度考え始めているということが、本書のブームの背景だと僕は信じる。

 三点目。本書は、結論を出しているわけではない。まず僕らに反省を促している本だ。その反省に立った上で、僕らが新しい哲学を作っていくしかない。それが、地球という星の、今後百年程度といった比較的短い将来に大きな影響を与えていくはずだ。僕らがそういう知的作業に耐えられるかどうかが試されているのではと最後に考えた。」



By 食いしん坊 (横浜市)

「『正義』の考え方は以下の三つ。第一の考え方は、正義は功利性や福祉を最大限にすること(最大多数の最大幸福)とするもの(功利主義)。第二の考え方は、正義は選択の自由の尊重を意味すると捉えるもの。第三の考え方は、正義には美徳を涵養することと共通善について判断することが含まれるというもの。著者自身は第三の考え方、『多元的社会に生きる人々は、最善に生き方について意見が一致しない』ことを前提に、それでも『道徳に関する政治は、回避する政治よりも希望に満ちた理想であるだけではない。公正な社会の実現をより確実にする基盤でもあるのだ。』と考えています。

今は、アメリカでも日本でも主流は第二の考え方(リベラル政治思想)が主流でしょう。著者は以下のように述べます。『平等主義者にとってもリバタリアンにとっても、中立を求める正義論は非常に魅力的だ。多元的社会にあふれかえる道徳的・宗教的論争に政治と法律を巻き込まずにすむという希望を抱かせるからだ。そのうえ、そうした正義論には、自由を束縛する唯一の道徳的責務は自分自身であるという、人間の自由についての独善的な考え方も見てとれる。しかしながら、そそれほどの魅力にかかわらず、この自由観には欠陥がある。善良な生活をめぐって対立する考え方のすべてに中立な正義の原理を見つけたいという望みにも、欠陥がある。』と。

著者の主な意見は以下。
『公正な社会は、ただ効用を最大化したり選択の自由を保障するだけでは、達成できない』『正義の問題には、名誉や美徳、誇りや承認について対立するさまざまな概念と密接に関係している。正義は、ものごとを分配する正しい方法にかかわるだけではない。ものごとを評価する正しい方法にもかかわるのだ。』
『正義をめぐる古代の議論は美徳から出発し、近現代の理論は自由から出発する。』
『正義について考えるなら、われわれは否が応でも最善の生き方について考えざるをえないのである。』
『より困窮しているメキシコ人に職を与えるのを拒んでまで、同胞の中で最も立場の弱い労働者を守るべきという理由はどこにあるだろうか?それは、共同生活と共有する歴史ゆえにわれわれが同胞の福祉に対して特別の責務を負うと認める場合に限る』
『われわれは、選択とは無関係な理由で連帯や成員の責務を負うことがある。その理由は、物語と結びついており、その物語を通じてわれわれは、自分の人生と自分が暮らすコミュニティについて解釈するのである。』
『市場は生産的活動を調整する有用な道具である。だが、社会制度を律する基準が市場によって変えられるのを望まないならば、われわれは市場の道徳的限界について公に論じる必要がある。』」


テレビを見ない生活をしているので、このNHKの放送は見たことがありません。(笑)

サンデル教授の言いたいことは分かるような気がするし、解説者としては優れているように思いますが、新しい枠組みを作りきれてはいないというところでしょうか?

アメリカンドリームの一類型は、例えば経営者として成功して、大金持ちになることだと思います。

日本人ですと、金、カネというのは、はしたない、下品という感覚がありますが、アメリカ人はもっとストレートです。(日本でも、スキー関係はアメリカに近いかも?)

そうした常識に対するアンチテーゼの意味もあるのかもしれません。

日本では、封建的、家父長的、隣組的な共同体組織による弊害が大きく、教育やマスコミによって、それが否定されてきました。

ただ、現在はそれが行き過ぎて、逆に歯止めがきかなくなった状態にも見えます。

法に触れなければかまわない(さらには、法を犯しても見つからなければ良い)という倫理観の崩壊につながっているように思えます。

というか、元々個人の倫理観があまり発達しておらず、基準が「他人の目・批判」だったので、それを取り払った結果、無限度な自由思想に陥っている面があるように思います。

「オレオレ詐欺」のように、老人を騙して大切な金を巻き上げるなどという卑劣な行為を平気でしてしまう人間が現れています。

たぶん、倫理観の基準を共同体依存ではなく、普遍的なものとして作り上げる必要があるのでしょうね。

また、倫理観の水準は、親から子へ受け継がれる(家庭内で共有される)傾向があるかもしれません。

その意味で、やっぱり教育は大事だと思います。

子供(将来の親)の教育と同時に、(現在の)親の教育も必要かもしれません。

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Author:ジュニアスキー
子供が小1の冬に家族でスキーを始め、すっかりその魅力にはまっております。小4から地元のスポーツ少年団に所属し、競技スキーを始めています。(現在中3)
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(2009年7月25日開設)


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