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欧米と日本の滑走スタイルの違いとその背景

欧米と日本の滑走スタイルの違いとその背景

昨日の「アルペンスキーを考える」で、欧米と日本のジュニアの滑り方の違いとして、日本のジュニアは、「上下動」「前への動き」を含めた「動き」そのものが足りないことが指摘されていました。

これが、レースで欧米選手に追いつけない大きな理由ではないか、また、原因として日本のコーチングに問題があるのではないかと考察されています。

主張されている内容には完全に同意いたします。

以前、本ブログでもご紹介した米国男子チームヘッドコーチSasha Rearickのインタビュー記事でも同じことが書かれていました。(こちらこちらもご参照)

要約すると、

選手は、もっと体を動かす必要がある。

特に、①スキーを追い越して立ち上がり、②ほんの少し板の方向を変え、③エッジングをする、という動作にもっと注目するべき。

これはスキーの基本動作であるが、スキートップの構造(注:カービング)のおかげで、これまで誤魔化してこられた。

もう誤魔化しはきかない。

外スキーを体の下に置いた状態で、エッジングしながらほんの少し方向を変え、前へ滑らせる動きがきわめて重要になる。

ナショナルチームレベルの選手は、様々な障害を持ったコースに対してチャレンジするべきだと考えている。

例えば、選手がクリーン・ターン出来ないような厳しいセットを立て、もっともっと動かざるを得ないようにしている。

まずは、スキーを追い越して立ち上がり、外スキーに乗り込み、方向を変え、エッジングを行う、という動作の習得が必要。

この動作は、お尻を落とし、板をただ傾けて滑っている選手にとっては、とても困難なものになる。

大事なことは、板を追い越してしっかりと立ち上がること。


「板を踏み越えて立ち上がること」の重要性が繰り返し述べられ、特にジュニアにこの動作を習得させる必要性が強調されています。

「重心移動」、「体を落とす」、「クロスオーバー」という表現でこれまでも言われてきた内容かと思いますが、一方で、かなり前には「競技では重心は低く」、そして今でも「板の上に立ち上がると体が遅れる(上に抜ける)」という相反する主張がされてきました。(踵荷重を重視するコーチもいます)

近年、WC選手に習い腰高の姿勢の重要性が言われていますが、他方では、上下動はダメという矛盾した考え方があるために、生田選手のように「上半身を前にスライドさせ、腰を持ち上げる」というような苦肉の折衷案を考えざるを得ない状況です。

以前からの私の主張ですが、

「まずは、WCの上位選手がジュニア期に行ってきた練習方法・環境を取り入れたらどうですか?後進国としての現実を謙虚に受け入れて、トップ選手の取ってきた方法を年代別にマニュアル化し、その方法を日本のジュニアにも当てはめる。その上で、独自の応用部分(特色)は、コーチにお任せしますと。
実際に、カナダや米国ではマニュアルが公開されており、インターネットで見られるわけですから、その通りにしてみたらどうでしょう。これは、理論ではなく実践です。」

日本では、(基礎スキーを含めて)少し理論もどきの思いつきや思い込みが多い上に、一つの型にはめようとしすぎる傾向を感じます。

実際のレースでは、状況に応じた多様な滑りが出来ないと速く滑れませんし、そのためには漫然とフリースキーをするのではなく、部分部分の練習が必要だと思います。


今の日本のジュニア育成の現状は、教育を放棄し、お金と時間をかけるだけ懸けている一部の熱狂的な指導者と保護者、そしてそれ以外のしらけた子供や親たちという、不自然な形に2分化されています。

普通の家庭が子供の教育の一環として、ごくごく当たり前にレースを楽しむような育成スタイルになっていません。

これだけ大人たちが子供に対してお金と労力をかけているわけですから、子供にとっては相当なプレッシャーになっているはずです。

勝てなければ、自分自身を否定されるような感情を持つ子供もいると思います。

ちょっとどこかのチームの選手たちが活躍すれば、(保護者の意向を受けて)子供たちが大量にそこに移籍するという、主体性に欠けた、そして多分あまり効果のないことを多くの人がしているのも、目先の試合で勝つことを最優先しているからだと思います。

ただ、世界云々の前に、日本で勝てないと意味がないのは当然です。

そして、そのために採用している方法が、出来る限りエッジを立てる滑りなのだと思います。

直線的なセットで勝つために、体を内倒させ、エッジを立てる。

WCの氷の上では、決して出来ない滑りですが、日本の柔い雪では出来る。

実際、この滑り方もカービングの特性を生かした滑りであることは間違いなく、親やコーチの期待を一身に背負った子供たちは、疑問を持つことなく、実行する。

そして、日本で勝てても、世界では決して勝てない。

構造的な問題だと思います。


解決策の第1歩として、ベースとなる育成マニュアルを作るべきだと考えます。

小学校低学年から、ポールに特化した練習ばかり行った子が常に勝ち、一方で、そのまま競技スキーを続けていれば中学、高校になって伸びたかもしれない子達が、バカバカしくなって小学生のうちに皆やめてしまう。

スキー界の損失です。

それを防ぐためにも、ある程度強制力を持たせて、年代別のマニュアルを遵守させるべきだと思います。

基本をしっかりと習得させるマニュアルを。

カナダのマニュアルを見ると、ジュニア期のフリースキーの重要性と、レーシングの基本となる外向傾、外足加重、重心移動などをしっかりと身につけさせるような、練習方法(バリエーショントレーニング、ドリル)が多数載っています。

ジュニアには、年代別、かつ年間計画を立てて、秋までは体作りと基本練習をメインに行っています。

体のパーツパーツの動きを、練習でしっかり習得させ、それが十分に出来ていることをフリースキーできちんと確認した上で、ポール練習に入っています。

このあたりも日本のシステムですと、なかなか実行できないところかと思います。

地域チームが、本来はジュニアの長期的な育成を担うべきなのでしょうが、実際には人(ボランティア)の問題から、商業チームの下部組織になっているところも多いように感じます。

大人と子供が一緒になっているチームですと、どうしても時間のない大人に合わせてポール練習ばかりになります。

大人のポールセットを子供が滑る練習ですと、エッジを立てたカービングで滑る方がタイムは良くなります。

切り替えで、体をスキーの真上に戻し、例えば、スキーを浮かせてスイングするような練習など、なかなか出来ません。

両スキーの上に重心を戻してから、外スキーに荷重を加え、しっかりとグリップさせるという動作が習得できない状況が構造的にあるように感じます。

ある程度は、大会で厳しいポールセットを立てることで、強制力にはなると思いますが。

あとは、大会参加を減らして、冬の間に十分な練習が出来るスケジューリングをするべきでしょう。

もしくは、冬の間はスキーに専念できるアカデミー制度を作るか。(このあたりは何回か書いたので省略します。簡単にできないことですし。)


まとめると、目先の勝利に拘泥しない長期的・継続的な育成システムと、基本を正しく身につけさせるマニュアルの作成・普及がない限り、世界で戦える人材育成は出来ないというのが私の考えです。

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プロフィール

ジュニアスキー

Author:ジュニアスキー
子供が小1の冬に家族でスキーを始め、すっかりその魅力にはまっております。小4から地元のスポーツ少年団に所属し、競技スキーを始めています。(現在中3)
ジュニアアルペン競技の情報ブログとしてスタートし、最近ではスキー全般、その他に関する話題も扱っています。
上欄のカテゴリから興味のある話題をお選び下さい。
(2009年7月25日開設)


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