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ジュニアアルペン競技とスキー全般についての情報ブログです。

デフレ時代のビジネスモデルを考える

デフレ時代のビジネスモデルを考える

伊藤元重

デフレの時代にあっても業績を上げている企業があります。
第3回目の講座では、消費者の価値観をとらえて注目され、これまでの商慣習を変革させ高収益を実現している企業に触れるとともに、デフレ時代のビジネス戦略上の見落としてはいけないポイントを解説していただきます。

なぜユニクロやニトリが繁盛するのか

 デフレは異常な現象である。物価や賃金が下がっていくということを経験した国は少ない。
 しかし、日本では既にかなりの期間にわたってデフレが続いている。デフレは一刻も早く解消しなくてはいけないが、今の経済状況ですぐにデフレを解消する政策があるわけでもない。企業はデフレの中で生き残る術を探らなくてはいけない。
 デフレの時代にあっても、業績を上げている企業はある。ユニクロやニトリなどの好調ぶりはいろいろな所で報道されている。なぜ、ユニクロやニトリは成功しているのだろうか。
 もちろん、値段が安いということは大きな要因だ。しかし、安いだけで説明できるわけではない。安いだけなら他にも店はたくさんあるが、そういった店の業績が良いとも言えないからだ。
 デフレ時代に成功するビジネスモデルを考える上で、一つの重要な要素は消費者の変化である。長く続く不況の中で、消費者の価値観が変化しつつある。バブルの頃であれば、値段が高い商品はそれなりのブランド価値を持つことができた。しかし、いまやただ値段の高い商品に消費者は関心を持たない。
 ある意味では、日本の消費者は成熟し、より利口になったとも言える。値段が高い商品を持っているのは、その商品の正札を見せびらかしているようなところがある。値段が高い説得的な理由があればそれでもそうした商品は売れるが、多くの高額商品にはそうした理由を見つけることが難しい
 もちろん、ただ安ければ良いわけでもない。値段は安くとも、多くの消費者はそれなりのこだわりを持っているのだ。こうした価値と価格のバランスが成熟消費の時代のブランドの条件である。ユニクロやニトリ、あるいはノキアなどは立派なブランドなのである。
 消費者のこだわりにはいろいろなものがある。ハイブリッド車に人気が集まるのは、環境を大切にするというライフスタイルが消費者の価値観に合うからだろう。
 環境や安心安全は成熟市場のライフスタイルマーケティングで有効な手法であろう。住宅メーカーなどもそうした面での強化が求められている。

チャネル・チェンジの威力

 デフレ時代に成功する上で、既存のバリューチェーンを見直すことが大きな威力になることが多い。メーカー→卸し→販売店と流れてきた伝統的な流通販売チャネルの上で新たなビジネス展開をしようと思っても、他社との違いを出すのは容易ではない。
 小売業にとっては、同じような流通チャネルから調達したのでは競合店と違いを出すことが難しい。メーカーにとっても、同じ店で競合他社の商品と同じに売られても違いは出しにくい。独自のチャネルを開拓することができれば大きな威力になるはずだ。
 ユニクロの成功は、アパレルの世界でSPAと呼ばれるビジネスモデルに裏付けされている。要するに、小売店が自らリスクをとって生産や流通チャネルを管理し、それをきちっと売り切るための販売展開を考えるのだ。
 ユニクロの成功は、その独自の商品開発や生産コントロールを抜きに語ることはできない。先程成功事例にあげたノキアもニトリも小売業が生産から中間流通までをコントロールしている。
 もちろん、小売業だけがデフレ時代に強いわけではない。メーカーサイドにも既存の流通チャネルを見直すことで成功している事例が多くある。たとえば、サントリーのセサミンというサプリメントは高い利益を上げていると聞いているが、これはメーカーから最終消費者へ直販で提供されている。
 既存の流通ネットワークを利用せず直販を選択することによって、健康志向の高い消費者に直接アプローチできる。継続的な購買が前提になる商品であるので、一人の顧客を捕まえることで長期的には高い売り上げを上げることができる。
 たとえば毎月5千円分購入してくれれば、1年で6万円、10年で60万円という計算になる。また、直販であるので利益率も高くなるのだ。
 特徴のある商品を生産しているところは、直販という手法を選択することで、高い利益を上げることができる。新潟のある酒造メーカーは問屋を通さず、直接、取引のある酒屋や料理屋に商品を届けている。こうした限定的な販売であるので20億円程度というそれほど大きな売り上げではない。
 ただ、40%から45%の利益率を上げているようだ。売り上げが小さくてもこれだけ高い利益率が上げられれば立派なものである。メーカー自らが流通チャネルを限定していることが功を奏しているのかもしれない。
 他の多くの酒造メーカーは旧来から問屋を活用してマスマーケティングを行ってきた。右肩上がりの時代にはこうした手法は有効であったが、市場が成熟するにつれて利益が上がりにくくなっているのだ。低い利益率で売上を増やしていくというビジネス手法はデフレ時代にはなかなか通用しにくいのかもしれない。
 戦後の日本は長いこと、右肩上がりの成長を続けてきた。そうした拡大する市場で効率的に商品を販売していくために、いろいろな分野でマスマーケティングの仕組みが出来上がっている。
 しかし、消費が成熟化し、デフレ的な状況が続く市場では、従来のチャネル戦略ではうまくいかないことが多い。メーカーも小売りもそして卸しも、新しいチャネル戦略を模索する時代であるのだ。

誰が競争相手なのか

 ハーバード大学ビジネススクールのマイケル・ポーター教授の経営戦略に関する分析はいろいろと参考になる。氏が取り上げている4つの競争相手の話は面白い。企業は通常は、同業の他社と競争しているという認識を持ちがちだ。しかし、同業他社以外に少なくとも3つの競争戦略上重要な相手がある
 一つは企業の財やサービスを購入している買い手であり、買い手からいかに高い支払いを引き出すかが企業の成功の大きな鍵となる。第二はこの企業が購入する部品や材料などを供給してくれる相手(ベンダー)で、ベンダーからいかに有利な価格で調達するのかも企業にとって重要なことだ。
 そしてデフレ時代のビジネス戦略でもっとも強調したいのはもう一つの競争相手の存在である。それは一見競争していないように見えて実は顧客を取り合っている他分野の企業の存在である。
 同業他社との競争に巻き込まれるだけではお互いにじり貧になることが多い。しかし、他分野からの顧客を取り込むことができれば、大きな利益につながる可能性がある。
 たとえば、世界的に成長が著しいLCC(ローコスト・キャリア)と呼ばれる安売り航空会社の成功の理由を考えてみよう。LCCの中でもとりわけ成功したケースとして知られるのが米国のサウスウエスト航空である。
 コスト削減のためにいろいろな取組をすることで、既存の航空会社より3割も4割も安い航空運賃を実現している。
 低料金のサウスウエスト航空は、確かに既存の航空会社からの客を奪うことに成功している。しかしよく調べてみると、航空会社間の顧客の取り合いだけでサウスウエスト航空の成功を説明するのは難しいようだ。
 実は、非常に低料金の航空会社が出てくることで、これまでバスや自家用車などを利用して移動していた米国人の多くが飛行機を利用するようになっているのだ。
 既存の航空会社の料金では気軽に飛行機を使えないと考えていた消費者も、サウスウエスト航空の料金であれば乗ってもよいと考えたようだ。
 デフレ時代に出てくる驚異的な価格設定は、結果的に他分野からの顧客を取り込み、想像以上の売り上げ増を実現することが少なくないのだ。
 アマゾンが出した電子ブックのキンドルが大成功を収めているようだが、この事例も他の電子機器との競争というよりは、既存の書店の客を食って伸びている事例と考えるべきだろう。
 書店で紙媒体の書籍を売る書店は電子ブックの登場で大きな影響を受ける可能性がある。読書という市場を巡って、紙媒体と電子媒体の間での熾烈な競争が始まっているのだ。
 デフレとは直接関係ないが、デジタル技術によって可能になっている様々なサービスは、他分野から顧客を奪っている。電子ブックが書店の客を、あるいはiPodやiPhoneが音楽CDの客を奪っていることは明確である。
 若者が携帯電話を多用して様々なコミュニケーションを行うことも、結果として他の余暇利用の手段から需要を奪う結果となっている。携帯電話の利用コストがかさむために他の支出を抑えるという行動となるからだ。
 デフレ時代でも成功を続けている企業には、デジタル(ICT)技術を有効に活用している企業が少なくない。先に述べた自社独自のチャネル戦略を展開している企業は、デジタル技術をうまく活用することでビジネス革新を実現しているともいえる。
 低コストで高度な情報のやり取りを、しかもグローバルレベルで行うことが可能になることで、旧来は考えられなかったビジネスモデルを展開することが可能になっているのだ。ユニクロのようなビジネスモデルを、グローバル化も情報技術もなかった時代に展開しようとしても無理だろう。
 LCCの成功でも情報技術の貢献は大きい。旧来の航空産業は巨大な予約システムに乗っかるという非常に高コスト体質であったが、インターネット網という低コストの情報システムをフル活用することで、LCCの低料金が実現しているのだ。消費者が情報機器を駆使して情報を集めることができるようになったことも、こうしたビジネスモデルを後押ししている。
 かつては書店で購入した紙媒体の書籍を利用していた消費者が、アマゾンのキンドルでダウンロードした書籍を読むようになっている。この光景を想像しただけでも、消費者が情報武装し、変化を続けていることが分かるはずだ。
 冒頭に述べたようにデフレ時代のビジネスの成功の一つの鍵は、変化する消費者の動きに対応するということである。価格に敏感になった情報武装された消費者にどう対応するのか、多くの企業にとって重要な課題であろう。


あるスキー場の競争相手は、他のスキー場だけでなく、ディズニーランドであり、新宿・渋谷であり、スマートフォンなのかもしれませんね。

インターネットは、協力相手であり、そして競争相手なのだと思います。

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プロフィール

ジュニアスキー

Author:ジュニアスキー
子供が小1の冬に家族でスキーを始め、すっかりその魅力にはまっております。小4から地元のスポーツ少年団に所属し、競技スキーを始めています。(現在中3)
ジュニアアルペン競技の情報ブログとしてスタートし、最近ではスキー全般、その他に関する話題も扱っています。
上欄のカテゴリから興味のある話題をお選び下さい。
(2009年7月25日開設)


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