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「2010ウィスラーカップレポート」について

「2010ウィスラーカップレポート」について

4月16日に、SAJホームページに掲載された「2010ウィスラーカップレポート」に次のような文章が書かれています。

「海外のコーチも不思議がっています、『日本チームは何故C-1では活躍するのに、C-2では活躍出来ないのか?』なぜなのでしょう。」

現在この疑問を巡って活発な議論が行われているようです。

答えは書かれておらず、問は皆に投げかけられています。(その分析をSAJから聞きたいところですが・・)

以前から、C-1(K-1)は世界で戦えるが、C-2(K-2)になると後れを取り、それがそのままジャパンチームの成績につながるとの認識があるようです。

この結果(傾向)からは、

解釈1,小学校までの各チームの育成方針は良いが、中学校以降の育成環境・方法に問題がある。

解釈2,問題は小学校時代からあるのだが、それが中学校以降になると顕在化してくる。

の2通りの解釈が成り立ちます。

SAJは、どうも2の解釈をとっているように見えます。

目先のレースに勝つためにポールテクニックばかりを追い求め、しっかりとしたスキー操作が身についていないことが原因と考えているようです。

これらの課題を克服する試みとして、ウエーブやジャンプ、コブ等の変化のある斜面・雪質でトレーニングを行うことが推奨されたり、ポールセットも板の角付けだけでは対応できないような、細かいセットにしたり、コンビを積極的に取り入れたり、スピード系のトレーニングを取り入れようとしたり、様々な形のトレーニングを行うことで、世界に向けた選手育成を行おうとしているようです。(トップレーサーズキャンプの項を参照)

これは、ずいぶん前からいろいろな形で指摘されていたことと思われます。

例えば、皆川選手の本には、苗場の大斜面でコブを滑ったことが、非常に良い練習になったと書かれていますし、佐々木選手は、中学に入るまでまともにコーチに教わったことがなかったそうです。

佐々木選手は、アルペンを行うようになってからも、周囲の非難をよそにハーフパイプなどのフリースキーを継続し、中3で全中に初めて出場してから、まもなくジャパンに選ばれるなど躍進を遂げたそうです。(ただ、もともと早かった、とは湯浅選手の弁です)

個人的には、SAJのこうしたトレーニングの方向性は全く正しいものと思いますが、そういう練習をしたからといって世界で勝てるようにはならないだろうとも考えています。

理由の1つは、C-1世代が世界トップレベルにあるという認識が間違っていると考えるからです。

下記のグラフは、2006年からのウイスラーカップにおける日本人選手のGSの順位を示しています。

WS000416.jpg

各クラスの代表選手2人(3人出ていた場合は上位2人、2人途中棄権した場合は上位1人)の平均順位を年代別に示しています。

男女ともC-1クラスは、きわめて成績が良く、特に女子の場合はほぼ毎年上位を占めています。

一方で、C-2クラスになると大きく順位を下げていることもわかります。

C-1クラスは成績がよいことは事実ですが、それでも世界のトップレベルにあると言い切れない理由は、参加国の違いです。

女子GSを例に取り、上位15名に入った選手の国名をあげてみます。

2006 K1 F GS (AUS, CAN, CZE, ITA, SLO, USA, JPN)
2006 K2 F GS (AUT, CAN, GER, NOR, SLO, USA)

2007 K1 F GS (CAN, ITA, KOR, POL, SLO, SVK, USA, JPN)
2007 K2 F GS (AUT, CAN, CZE, GER, NOR, SLO, SVK, USA)

2008 K1 F GS (CAN, CZE, ITA, RUS, SVK, USA, JPN)
2008 K2 F GS (AUS, AUT, CAN, CZE, GER, SVK, USA)

2009 K1 F GS (AND, CAN, CZE, FIN, ITA, KOR, NZE, SVK, JPN)
2009 K2 F GS (CAN, CZE, KOR, NED, USA, JPN)

2010 K1 F GS (AUS, CAN, CZE, ITA, SPA, SVK, JPN)
2010 K2 F GS (AUT, CAN, GER, ITA, NED, RUS, SVK, USA, JPN)

これからわかることは、C-1にはオーストリア、ドイツ、ノルウエーなどのいわゆる強豪国は参加していないということです。

C-2クラスには、これらの国の選手が出場し、上位15名のうち半分近く、時には3分の2を占めます。

ちなみに、C-2で成績の良かった2009年は、これらの強豪国が参加していません。

従って、C-1で順位が良い理由は、強い選手が参加していないからだと推測されます。

感情的には、この言い方は、努力した選手に対してあまりにも失礼、かわいそうとは思います。

ただ、同行したコーチや関係者は当然わかっていることと思いますので、なぜこうした事実を踏まえた上で世界に通じる選手育成を議論しないのか不思議です。

もちろん、実際には彼らとレースをしていないわけで、可能性としてはC-1クラスでも強豪国の選手に勝てるのかもしれません。それはわからないことです。

少なくともいえることは、「C-1では世界に通用している」という認識は間違いで、レースの結果からは「何ともいえない」ということです。

C-1とC-2のギャップに必要以上に注目することはミスリードにつながる可能性があります。

個人的には、C-1クラスでも、実は厳しい状況ではないかと推測しています。

ただし、ここ2-3年の特定の個人を追っていくと、強豪国がそろったC-2クラスでも戦える人材が現れてきていることも確かなので、そうした人材を上手く育て、かつ希に(突然変異のように)出現する才能をただ待つだけでなく、組織的に育成する仕組みを作る必要があるように思います。

そのためには、まず正確な現状分析をし、かつ議論を一過性のもので終わらせず、何らかの形にしていくことが重要ではないでしょうか?

次回は、C-1からC-2にかけて順位が本当に下がっているか見てみたいと思います。


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ジュニアスキー

Author:ジュニアスキー
子供が小1の冬に家族でスキーを始め、すっかりその魅力にはまっております。小4から地元のスポーツ少年団に所属し、競技スキーを始めています。(現在中3)
ジュニアアルペン競技の情報ブログとしてスタートし、最近ではスキー全般、その他に関する話題も扱っています。
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(2009年7月25日開設)


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