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ゲレンデに客を呼び戻した白馬五竜スキー場の挑戦

3年前の記事ではありますが、基本的に状況は変わっていないと思います。

ゲレンデに客を呼び戻した白馬五竜スキー場の挑戦 - 08/03/19

 あれから20年――。2007年の全国スキー場利用客数は延べ3億1630万人。ピークを極めた1994年のわずか4割と、もはや往年の影さえない。日本中にスキーブームを巻き起こした映画『私をスキーに連れてって』が公開されたのは87年。ウインターシーズンの到来を待ちきれず、多くの人が雪山に押し寄せ、新しいスキー場が次々と開発されていった。 

 それが今、週末にもかかわらず、多くのスキー場で閑古鳥が鳴く。ブーム時の過大な設備投資がたたり、多額の債務に苦しんでいるスキー場も少なくない。長野経済研究所が県内のスキー場事業にかかわる索道事業者(リフトやロープウェー等の運営業者)に行った調査(06年12月実施)では、過半数が「(05年度シーズンの)収支状況は赤字」とし、その6割近くが1億円以上の累積赤字を抱えていると回答した。

 これでは新たな設備投資どころではない。圧雪面積やリフトの稼働を減らすなど、コスト削減が最優先。リフトやゴンドラのメンテナンス費用を捻出することさえ苦しくなれば、安全性にも問題が生じる。

 全国に550~600カ所といわれているスキー場の数、実は最盛期の90年代初頭からほとんど変化がない。スキー需要がこれほど減退しているにもかかわらず、である。

 スキー場を閉鎖するには、リフト撤去や植林などで現況復帰させなければならない、という林野庁の規制があり、閉鎖しようにもカネがないのが理由の一つ。だが、スキー場再生を手掛けるコンサルタントの坂倉海彦氏は、「複雑に絡み合う地域の利権や、自治体の介入などにより、閉鎖を決断できる者がいないという理由のほうが大きい」と明かす。

 市場縮小に伴う淘汰がされず、供給過多のまま自らの首を絞めている――。それが、今日のスキー場業界なのだという。

 そんな中、シーズンごと着実に集客を維持しているスキー場がある。 

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施設は24時間営業 社員の意識改革も

 2月のある週末。大雪の悪天候にもかかわらず、リフトには長い行列、ゲレンデには人、人、人。 スキーブーム再来かと見まごうほどの盛況ぶりだったのは、長野県・白馬五竜スキー場だ。隣接して98年長野オリンピックの舞台にもなった八方尾根スキー場がある。知名度もゲレンデの規模も宿泊施設の収容人数も、八方のほうが上だろう。それでも客は五竜に集まる。07年度(06年11月~07年3月)の客数は、八方尾根33万人に対し、白馬五竜は37万人だった。

 名物コースがあるわけでも、有名な温泉があるわけでもない。なのに、なぜ客は集まるのか。そこには、経営者の発想の転換があった。

 白馬五竜スキー場を運営するエンレイは、02年に親会社の地元デベロッパー、信州塩嶺高原開発から分社。以後、同スキー場の運営を専業としている。エンレイ発足と同時に、駒谷嘉宏社長は、運輸業であるスキー場運営から、いかにサービス業へと脱皮させるか、を考えたという。

 スキー場を運営する索道事業者は、鉄道事業法に規制された運輸業であり、売り上げの80~90%をリフト券などの索道収入に依存している。「だが、客はリフトに乗りに来るのではない。スキーを楽しむために来る」と駒谷社長。客が求めるものとスキー場に不足しているものを、一つずつ照らし合わせていった。

 第一に、他産業と比較しても見劣りしない施設の充実。90年に建設したスキーセンター「エスカルプラザ」を、夜中や未明に到着する客のために24時間営業にした。仮眠ルームや大浴場を備え、1日15時間営業の売店も設置する。

 さらに、一流のスキー用具を提供するレンタルショップを設置した。スキー場のレンタル店で借りると、大抵の場合、使い古したボロボロの用具が出てくる。だが、いくら初心者とはいえ、それではスキーの楽しみを十分に感じることなどできるはずがない。つまり、マーケットが育たない。駒谷社長は周辺宿にもレンタルの取り扱いをやめてもらった。多くの宿がろくなチューンナップもしないまま、老朽化した用具を貸し出していたからだ。これに刺激されて、周辺のレンタルショップも、その後、用具を入れ替えたという。

 スキースクールには、ゲレンデに近い駐車場と、昼食を取るための専用の部屋をセットにしたファミリー向けパックを創設した。スキーの裾野を広げるには、子供が重要な役割を担うと考えたからだ。現在、エンレイの収入の約40%は、索道以外の観光収入。運輸業からの脱皮は、着実に進んでいる。

 また、サービス業として、ソフト面の満足度を担う社員の意識を変えるため、成果主義を導入した。36人の社員全員に、お客が何を求めているか、それにどう応えるかを考えさせ、1年間の目標を立案させる。その結果を社長ほか部長3人による評価委員会にかけ、各人の年俸を決める。従業員持ち株制度も取り入れ、全株式の20%を充てている。

 なるほど、リフトに乗れば係員に気持ちよく声をかけられるし、施設のトイレは頻繁にスタッフがチェックに訪れ、清潔に保たれている。「従業員のモチベーションは、確実に向上した」と駒谷社長は胸を張る。

 こうして、白馬五竜スキー場は着実にリピーターを増やし、クチコミを広げ、売り上げを伸ばし、資金を新たな投資に充ててきた。07年はメインの高速リフト架け替えのほか、自動降雪機を2台増設。エスカルプラザには夏用に冷房を導入し、5億円の設備投資を実施した。多くのスキー場が、20年前の老朽設備を放置したままなのとは対照的だ。

経営の巧拙で明暗 再々編が起こる可能性

 これまでスキー場の大半は、自治体や地元住民の共同出資による小さな企業体によって運営されてきた。しかし、ただリフトを動かしていればよい時代は、とうに過ぎた。集客努力をしなければ客は来ないし、競合するのは同じスキー場ばかりでなく、レジャー産業全体だ。カネを落とさせるという意味では、あるいはすべての産業が競争相手。一流の経営能力が、スキー場の運営にも求められるようになった。経営の巧拙でスキー場の明暗が決まる、という認識が広まりつつあるのである。

野村ホールディングス系投融資会社、ユニファイド・パートナーズは、自己資金による投資を行うプリンシパル・インベストメント。同社の水町兵衛氏もこう語る。「マクロ的には下降している産業だが、潜在性を見極め、適切な施策を打てば、うまくいくスキー場があるのも確か」。

 2~3年前から、スキー場は新たな投資対象として注目され、異業種からの参入が増えている。ユニファイド・パートナーズは、07年5月、長野県の奥志賀高原スキー場を長野電鉄から取得し、06年に取得した北志賀竜王スキー場とともに、スキー場経営に乗り出した。

 今シーズンはまだ計画立案の段階だが、2月には実験的に早朝営業を実施した。堅く締まった朝一番のゲレンデに最初のシュプールを描く快感は、スキーヤーなら誰もがあこがれる。だがそのためには、未明のうちに圧雪を行わなければならず、カネも人手もかかる。わかっていてもできなかったこのサービスに、奥志賀高原ではチャレンジした。「今後も投資効果を考えながら、戦略的な投資を行い、奥志賀高原という素材を客のニーズに適合させていきたい」と水町氏は語る。

 スキー場運営に乗り出した企業の中には、ほかに投資ファンドも目立つ。だが、これら投資ファンドが取得したスキー場で経営が大きく改善したところは、現時点ではほとんど見当たらない。前出の坂倉氏も「ファンドによる運営は効率化によるコストカットが主で、キャッシュフローは改善されても、売り上げは増えていないケースが多い」と言う。

 約5年でのエグジット(売却)を前提とした短期的視点では、思い切った投資ができないのも確か。「ファンドが再建に行き詰まって転売し、2~3年後にスキー場の再々編が起こる可能性もある」と坂倉氏。

 スキー人口の減少は当面続くだろう。その現実にどう歯止めをかけ、活気を取り戻すか。結局それは、いかにしてスキーの魅力を最大限伝えることができるか、経営者の前向きな発想と実行にかかっている。

(週刊東洋経済:堀越千代)


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Author:ジュニアスキー
子供が小1の冬に家族でスキーを始め、すっかりその魅力にはまっております。小4から地元のスポーツ少年団に所属し、競技スキーを始めています。(現在中3)
ジュニアアルペン競技の情報ブログとしてスタートし、最近ではスキー全般、その他に関する話題も扱っています。
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(2009年7月25日開設)


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