東日本大震災:沼田の客に支えられ 南相馬の田中さん、ラーメン店5カ月 /群馬
東日本大震災:沼田の客に支えられ 南相馬の田中さん、ラーメン店5カ月 /群馬
◇薄味で勝負「温まってもらいたい」
東京電力福島第1原発事故で、福島県南相馬市から避難してきた田中一夫さん(71)一家が、沼田市利根町平川にラーメン店「尾瀬つかさ亭」を開店して5カ月になる。オープン当初は、一緒に逃れてきた古里の仲間たちが店を盛り上げてくれたが、その多くは南相馬に戻った。今では地域の客らに支えられ、夜遅くまで湯気の立ち込める厨房(ちゅうぼう)に立つ。
午前9時半過ぎ、三男の俊和さん(33)が開店の準備に取りかかる。一夫さんが「さあ、今日も頑張ろうか」と声をかけ、妻米子さん(61)がテーブルの花瓶に花を生けて開店準備完了だ。
オープン当初は、地元の人のアドバイスに従って濃いめのスープを提供していたが、現在は南相馬時代と同じ薄味で勝負している。「自分で作り上げたスープを味わってほしいからね」と一夫さん。
サラリーマンをやめた一夫さんは、96年から南相馬で飲食店を始め、6年前からはメニューにラーメンを加えた。店内にはカラオケも置き、大勢の客でにぎわっていたが、原発事故が生活を一変させた。
片品村に移り住み、沼田市内に借りた店まで車で15分。午後10時に閉店する。南相馬の人々が次々と帰郷する中、地元客らに支えられているが、経営は厳しいという。一夫さんは「これから雪が降ると大変だが、スキー客が大勢来ると聞いている。ラーメンで温まってもらいたいね」。
南相馬の店は福島第1原発から20~30キロ圏にあり、緊急時避難準備区域に指定されていた。政府は9月30日に解除決定したが、戻っても飲食店経営が成り立ちそうになく、一家は群馬で生計を立てる方針だ。「いつか帰れる日が来るのかね」。一夫さんはそう話し、遠くを見つめた。【米川康】
毎日新聞 2011年10月8日 地方版
関連記事は、こちら。
◇薄味で勝負「温まってもらいたい」
東京電力福島第1原発事故で、福島県南相馬市から避難してきた田中一夫さん(71)一家が、沼田市利根町平川にラーメン店「尾瀬つかさ亭」を開店して5カ月になる。オープン当初は、一緒に逃れてきた古里の仲間たちが店を盛り上げてくれたが、その多くは南相馬に戻った。今では地域の客らに支えられ、夜遅くまで湯気の立ち込める厨房(ちゅうぼう)に立つ。
午前9時半過ぎ、三男の俊和さん(33)が開店の準備に取りかかる。一夫さんが「さあ、今日も頑張ろうか」と声をかけ、妻米子さん(61)がテーブルの花瓶に花を生けて開店準備完了だ。
オープン当初は、地元の人のアドバイスに従って濃いめのスープを提供していたが、現在は南相馬時代と同じ薄味で勝負している。「自分で作り上げたスープを味わってほしいからね」と一夫さん。
サラリーマンをやめた一夫さんは、96年から南相馬で飲食店を始め、6年前からはメニューにラーメンを加えた。店内にはカラオケも置き、大勢の客でにぎわっていたが、原発事故が生活を一変させた。
片品村に移り住み、沼田市内に借りた店まで車で15分。午後10時に閉店する。南相馬の人々が次々と帰郷する中、地元客らに支えられているが、経営は厳しいという。一夫さんは「これから雪が降ると大変だが、スキー客が大勢来ると聞いている。ラーメンで温まってもらいたいね」。
南相馬の店は福島第1原発から20~30キロ圏にあり、緊急時避難準備区域に指定されていた。政府は9月30日に解除決定したが、戻っても飲食店経営が成り立ちそうになく、一家は群馬で生計を立てる方針だ。「いつか帰れる日が来るのかね」。一夫さんはそう話し、遠くを見つめた。【米川康】
毎日新聞 2011年10月8日 地方版
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