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ジュニアアルペン競技とスキー全般についての情報ブログです。

スキー滑走技術は、スキー以外の運動によって向上するか?

スキー滑走技術は、スキー以外の運動によって向上するか?

運動学習で、どの程度「転移」が行われるかに関して、「運動スキル学習における,転移,運動イメージ,意図」(橋本圭子)新潟工科大学紀要より、引用します。

この論文(総説?)を読む限り、

①スキー滑走技術を高めるためには、スキーの練習をする以外に有効な方法はない。
(例えば、インラインスケートなども効果はほとんどなさそうです)

②ポールを上手く滑れるようになるためには、ポール練習をする以外に有効な方法はない。
(コブを練習してポールが速くなるかどうか微妙)

という結論が得られそうです。

ポイントは、目的とする運動ではなく、他の運動を行った場合(たとえそれが類似運動であったとしても)目的とする運動学習に対して転移はほとんど起こらないと言うことです。

ただし、イメージトレーニングは有効とのことです。

この理屈から言うと、(素質や他の環境要因が同じであれば)滑走量が多い人、一年中スキーをしている人が、スキーは上達することになります。

ただし、タイム短縮のためには、持久力、瞬発力など「滑走技術以外」の体力要因も、もちろん重要と思います。

また、おかしなフォームでポールをいくら滑っても上達には限度があると思います。


野球の選手はゴルフの上達が早い,軟式テニスの経験者は硬式テニスのスイングの習得
に手間取る.これらは事実だろうか.過去の学習経験が,後に行われる別の課題の学習に
影響を及ぼす現象は,一般に学習の転移
といわれる.2 つの課題が「異なる」程度は様々
で,先行課題と同じ課題を後に異なる条件で実行する場合もあるし,別の種類の課題を実
行するような場合もある[1].また,先行経験が後続課題の学習を促進する場合もあるし,
妨害的にはたらく場合もある.学習や記憶の研究においては,こうした転移の問題は長く
論じられてきたテーマである.さらに,教育をはじめとして我々の現実の生活においては,
学習したことを後の新しい場面や課題で適切に生かせることは重要
であり,適切な転移が
起こることは,学習の本来の目的だといってもよい.では,運動学習においては転移の問
題はどのように論じられているだろうか.
Schmidt とLee[2]は運動学習に関する詳細なそのテキストにおいて,運動スキルの転移
は課題が事実上同一のものでない限り基本的にはあまり起こらない
と述べている.課題間
転移は起こったとしても量的にはわずかで,またその大半は正の転移,すなわち,先の学
習経験が後の課題のパフォーマンスを促進するタイプのもの,である.従って,運動の転
移の現象を説明する際にしばしば持ち出される例,「夏にテニスをすると,冬にバドミント
ンの試合に負ける」[2]は,一般にはそう起こることではないのだという.運動学習の転移
が認められるデータを報告した研究もあるが,それは課題の認知的な成分が転移したと解
釈すべきであるというのである.De Beni らも学習の転移は認知処理レベルで起こるとい
う同様の指摘をしている[3].これらのことは運動スキルの学習に何か特有な特徴と関係す
るのだろうか.本論では,この転移の問題をひとつの足がかりとして,運動学習の特性に
ついて考察していきたい.が,その前に,まず転移という現象が現在どのように語られて
いるか,簡単に見ておこう.

(中略)

Schmidt とLee[2]は,運動学習の転移が比較的小さいことは,運動能力の個人差に関す
るデータとも一致すると述べる.運動学習研究の初期には,人には全般的な運動能力の個
人差があって,これに優れる人はあらゆるスポーツで成功するという考え
が受け入れられ
ていた.或いは今日でも,一般にはこうした考えに同意する人は少なくないかもしれない.
しかし,彼らによれば,諸研究を総合すると,運動課題全般を共通して支える一般的な運
動能力というものが存在するとは考えにくい
という.多種のスポーツで成功している人が
いるように思われる現象も,実は過去の運動学習の多様さなど,経験の要素によって説明
できることが少なくない
という.従って,運動能力は多様であって,課題にかなり特異的
であり,同様に運動スキルの課題間転移も起こりにくいのだ,と彼らはいう.
一方,運動スキルに関する研究でしばしば引用されるものにLashley(1942)の報告し
た書字課題の筆跡例がある.これは右手や左手で文字を書いたり,また鏡映筆記を行った
り,さらにペンを歯で挟んで書いたり,と運動実行器を変えて筆記しても,同一の人物に
よる場合は筆跡の特徴は一貫していることを示したものである.これは運動の等値性と呼
ばれ,書字スキルが運動器官に依存しないことを示すものとして知られてきた(Lashley
の運動等値性についてはSchmidt とLee[2] ,他に Keel ら[5],Bruce[6]も参照されたい).
つまり,運動スキルは課題に関しては特異的であるが,実行器に関してはそれほど特異
性をもたない
ということになる.こうした特性を理解するために重要になるのがSchmidt
の“一般運動プログラム”(general motor program:GMP)という概念である.ある運
動スキルを実行する場合,その時々の環境条件や運動目標に応じて運動自体はしばしば異
なるものになる.例えば,筆記用具の違いや,書こうとする文字の大きさの違いによって,
使用する筋肉,運動の大きさなどは全く異なり,実行される運動としては別のものになる.
GMP は,そうした違いを超えたレベルで同一の運動目標(例えば,“G”という文字を書
く)を達成するためのプログラム,運動記億のスキーマである.そのプログラムには,各
運動要素の実行の順序や実行の相対的なタイミング,相対的な力関係が抽象化されて記憶
されている.そしてこれに,全体の運動時間や運動全体の大きさ(力),使用する筋肉など
のパラメータが入力され,実際の運動が実現される.運動スキルの学習過程は,この一般
プログラムの形成過程とパラメータ学習の過程とからなる,というのが運動学習のスキー
マ説(GMP 説)
である.
従って,運動の等値性が得られるのは,同種の課題では同じ GMP に支配されるためで
ある.すなわち,環境条件や目標が異なっても入力されるパラメータを変更するだけで適
切に運動が実行される
のだ.GMP は構成概念であり,その存在は様々な運動課題や条件
下での実験結果から合理的に想定されるしかないが,書字の例[7],[8]の他にも,最近では左
右の手を使ったタッピング課題で,障害物の回避行動に一般的な運動プログラムが存在す
ることが示唆されている[9].またLee とSchmidt[10]は運動学習に関する論評の中で,練習
スケジュールのランダム/ブロック効果や反復練習の際のKR の効果に関わる多くの現象
が,GMP の概念によって上手く説明できることについて述べている.同様に,運動の転
移の問題もGMP によって理解することが可能で,Schmidt とLee[2]は学習の正の転移を
示した過去の報告も,例えば追跡回転課題(色々な速度で回転する円盤上にあるターゲッ
トをレコード針状の道具を持って追跡する課題)における回転速度の変化など,パラメー
タの違いに過ぎない場合が多いと述べている.これに対して,運動の転移の少なさや運動
能力が課題に特異的であることなどは,課題を支配するGMP が異なることによる
ものと
考えるのが妥当であるという.GMP というかなり抽象レベルのプログラムを「要素」と
呼ぶべきかどうかの問題もあるが,Schmidt とLee の説に従えば,運動スキルの転移に関
わる同一要素はGMP である,ということになるだろう.􀀁

(中略)

運動スキル学習の特性を理解するためには,GMP 論が1 つの手がかりを与えてはくれ
るだろう.運動スキルの転移が起こりにくいのかどうか,運動スキルは課題特異的である
のかどうか,に関わる種々のデータはGMP の概念によって混乱を整理できる可能性があ
る.しかし,筆者も,上記のGMP 論だけでは不十分であろうと考える.恐らくそれは,
彼らが述べるように,GMP 論がその形成過程を明確にはしていないこと,とも関連する
ように思われる.多くの人が日常の経験から,頭では分かっていてもなかなかその通りに
運動を実行できない,上手な人のパフォーマンスを見ただけではできるようにならない,
有能なインストラクターが言葉で上手く説明してくれてもその通りには実行できない,な
どと素朴に感じているかもしれないが,それらが真実か否かも含めてこうした問題を解明
するには,運動の学習過程を明らかにすることが必要だろう.また,後述するように,GMP
論だけに基づいて転移現象を説明しようとすると,膨大な数のGMP が必要になってしま
う.そこで次に,こういった問題に示唆を与えてくれる最近の研究を紹介しながら,検討
を進めたい.

(中略)

上記に紹介した 2 つの研究結果から分かるように,ピアノのコード演奏,または系列タ
ッピングという各々同種の運動反応課題内であっても,反応時間の短縮には実際にその特
定のフォームでトレーニングを体験していることが必要
である.ましてや運動成分を除い
た知覚・認知的体験は,運動課題に関連する内容のものであっても,運動スキルの向上には
ほとんどつながらない.つまり,過去のトレーニング体験が,新しい課題状況に転移する
可能性は明らかに小さい.このことは,テニスとバドミントン間での転移どころか,同じ
テニスのスキルであっても転移が起こりにくいことを意味する
ことになるだろう.確かに,
テニスという一つのスポーツのスキルであっても,フォアハンド・ストロークとバックハン
ド・ストロークの技術は相互に異なり,一方のトレーニングを積んだ結果,他方も上達する
などとは考えられないかもしれない.それぞれが異なるGMP によって支配されている可
能性はある.しかし,ピアノのコード演奏においても全てのコード・パターンに対して異な
るGMP があるのだろうか.これは筆者には非現実的なことのように思われる.
ここで再び,Hazeltine らとWhohldmann らの結果をふりかえりたい.新奇のコード・
パターンやタッピング・パターンでは,トレーニングしたスキルに比べて,明らかに反応時
間や運動時間が長く,トレーニングの効果の転移は見られなかった.しかし,トレーニン
グ時と指使いの組み合わせパターンを変えた再構成コードの反応時間は,全くの新奇コー
ドに比べると有意に短くなるという結果が得られた[11].また,Whohldmann らの実験で,
系列タッピングのトレーニングを1 ヶ月ごとに行って3 ヶ月後にテストした場合は,新奇
のタッピング・パターンも,トレーニングを受けたパターンほどではないものの,運動時
間が短かかった.Whohldmann らは,これは3 ヶ月という期間でトレーニング量が増え
たことによるものではないかと考察している.Hazeltine ら,Whohldmann らともに,程
度は小さいが,運動の要素レベルでも転移が起こり得ると論じている.

(中略)

本論文では,転移の問題を足がかりに,運動学習における実行体験の意味について考察
してきた.運動スキルの獲得には,基本的には,その運動を実際に体験し,練習を反復す
ることが必要
である.しかし,現実の実行を伴わない運動イメージによるトレーニングも
運動学習には少なからぬ効果を持つことが,多くの研究によって示されていることが分か
った.ただし,イメージ・トレーニングが有効なものとなるには,そのときの運動イメージ
が,現実の実行をある程度意図したものでなければならないことが示唆された.また,運
動スキル学習のモデルとして,GMP 論について考察し,多成分説や階層構造説の視点が
必要であることを主張した.


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プロフィール

ジュニアスキー

Author:ジュニアスキー
子供が小1の冬に家族でスキーを始め、すっかりその魅力にはまっております。小4から地元のスポーツ少年団に所属し、競技スキーを始めています。(現在中3)
ジュニアアルペン競技の情報ブログとしてスタートし、最近ではスキー全般、その他に関する話題も扱っています。
上欄のカテゴリから興味のある話題をお選び下さい。
(2009年7月25日開設)


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